第37話
■
『どうして、僕には体がないんだ……』
体?剣が落ちてたあの周辺で300年の間に朽ちたんじゃないだろうか。ああでも、骨は残っていたかも。
遺骨……探してあげればよかったかな。もう、今更だよね。荒野のどこにあるのかなんてさっぱり分からないよ。ごめん。
『いや、待てよ?体……ん?何だろう、えーっと、あれ?……えーっと……何か忘れてるような?』
ふとディラが何かを思い出したように、いや、思い出しかけて顔を上げる。
と、そんなことをしている場合ではない。
水の魔石が水を出すのを。火の魔石が水を温めるのを止める。
湯加減はばっちり。冷めないうちに入ろう!
「風呂が沸いたよ~。さぁ、皆で入ろうね!」
「え?お湯の中に入るのか?俺たち食べる気なのか?」
ドンタ君がぎょっとした顔をする。
「えーっと、違うよ、ほら、私も手を入れられるよ、煮るときのように熱くはなくて、えーっと……」
ディラも風呂を知らなかったんだ。子供たちが知るはずもない。
……そもそも水浴びすら知らない?
そりゃそうか。水浴びできる場所があるのなら、飲み水に困るわけはない。
「えーっと、風呂……うんと、精霊様に会うのに身を清めるのよ」
へらりと笑って適当なことを言う。
子供たちもおばばも真剣な目をして私の言葉に耳を傾ける。
「確かに、神殿では神事を行う前には身を清めると聞いたことがあるのじゃ。洗浄魔法を使えばいつでも体も服もきれいになるというのにわざわざ水に浸かると聞いたことがあって不思議に思っていたんじゃが……」
洗浄魔法か!なるほど。そういうのがあるから、風呂もないのか。こりゃ、街の中でも風呂はなさそう。
「えーっと、女の子チーム集合!男の子チーム……ネウス君とドンタ君はあっちね。服脱いで、まずは1つめの酒樽にしばらく入って」
女の子チームと、はい、おいで、おいで。モモちゃんは抱っこで入らないと沈んじゃうね。
私とモモちゃん、おばばさんとミーニャちゃん、ドンタ君とネウス君に分かれてお風呂。お湯がすぐに真っ黒になってしまうため1つ目の樽につかり垢を浮かせて体を洗って、もう一つの綺麗なお湯で最後に綺麗にする。
=============
あ、改稿して文字数が大幅に減りました。……しまった。
続きはまだ改稿してない。出来次第更新していきますのでお待ちください。
ご覧いただきありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます