第10話
『しかし、300年もよく結界が持ってるよなー。設置したときの魔石、100年くらいは持つかなとか言ってたけど、計算違いか。あいつでも間違えることあるんだな』
あいつ?賢者のことかな?知り合い?しかもあいつとか言うレベルで親しかった?それとも賢者とは別の人かな。
『新しい魔石と入れ替えたのかな?それとも別の方法が何かるのかな?』
賢者以外でも、魔石のこととか常識なのかな?例えばえーっと、ファンタジーでいうと、ギルドとか?ギルドの人がこの大きさの魔石ならとか言ったのかな?
って、ギルドがそもそもあるのかな?ああ、あと……。
「ディラさん、モンスターって出るの?」
いや、出るか。ドラゴンをどうのとか言ってたし。
『あー、どうだろ。死ぬ前は、あちこち人間の住むところにモンスター出てきてて、魔王討伐すれば出てこなくなるってことで魔王討伐したけど。本当に出てこなくなったかは分からないなー』
「えっと、出たら、その、どうしたらいいの?私、戦えないよ?」
『大丈夫!魔王レベルじゃなきゃ、僕に任せて』
……。
「どうやって任せるの?」
『いや、だって、僕はゆ……』
幽霊よね。
『あー、死んでた!僕、死んでた!』
オーノーみたいに両手を頭の後ろに当てて体を反らすイケメン幽霊。
「よく、死んでること忘れられるね?」
時々死んだことに気が付かない幽霊とかもいるけど、ディラは気が付いてるよね。
『あー、なんか、死んだ記憶がないというか、本当に死んでるのかな?いや、でも実際体がないんだから死んだのかな?うーん、実感がない。それに』
ディラが私の顔を見る。
『こうしてユキと話ができるから』
にこっと笑った。青い目が嬉しそうにこちらに向けられる。
うっ。ちょっと、幽霊だからって、イケメンの嬉しそうな顔は反則!
『って、僕の大事なユキがモンスターに襲われたら大変だっ!』
ちょ、反則、そういうこと言わないのっ!勘違いするでしょっ!
『ユキ、鞄、鞄開いて、モンスター避けのなんかえっと、何だっけ?ちょっと待って、うーんと、モンスター避けちゃうと倒せないから使ったことなかったけど……って、持ってない、いや、そう、使わないからってあげちゃったんだ……ごめん』
ディラが眉毛を下げて口をへの字にして泣きそうな顔をしてこちらを見た。
「あー、その、とりあえずディラは300年その辺にいたよね?モンスターの姿見た?」
ディラの剣があった場所を指さす。
『そういえば、決戦の地ではモンスターを見たことはない!大丈夫、うん。えっと、あっち行けば大国があるし、僕の家もあるから』
300年前の家ねぇ……。廃墟か、別の人の物になっているか、更地ってとこかな。
追い出された街を思い出す。そういえば、つるんときれいな表面の石づくりの家が並んでいた。あのレベルの建物なら300年で朽ちることはないのかな?いや、家の問題よりも……。
「ディラの国は、魔力0でも追い出されない?」
『当たり前だろ。魔力0で追い出すなんて聞いたことがない』
「いや、でも、あの街は魔力0だからって……」
まぁいいか。あの街が特殊という可能性もある。300年前から状況が変わった可能性もあるけれど、とりあえず、ここに居続けても仕方がないことだけは確かだ。
「じゃぁ、ディラの家に行こうか」
『うん』
嬉しそうなディラ。
……そこで、はたと気が付く。
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ご覧いただきありがとうございます。今回も何カ所か改稿してあります。
間違い探しのレベルですが……。
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