第10話、マリア・シークレット
「その、ライアが大人になったら結婚してくれるっていうから、体内時計を進めて成長してみたんだ」
「ライア…」
「えっ、た、確かにそれらしいことは言いましたけど、まさかこんな…」
「まさかだよね。
こういう大人のなりかたって、想像もできないよ。
はあ、坊ちゃんの最初は私が頂こうって思ってたのに…」
「マリーも何言ってるの。まだ3才なのよ」
「だけど、さっきの感じは3才のものじゃなかった。
年相応の感じだった」
「分かった。正直に話すから聞いてくれる」
「何を」
「生まれる前の事」
「「「はぁ?」」」
「僕には、ここではない世界で17才まで生きた記憶がある」
「「「…」」」
「魔法とか存在しない世界だったけど、本で魔法のイメージは持っていた。
だから、生後半年で母さんを治療できたんだ」
「やっぱり、治癒魔法だったんですね」
「そう、母さんを治したくて、どうしたらいいのか必死で考えて、魔力らしいものは感じていたからそれを練って治癒魔法をかけてみた」
「本で読んだだけで…」
「いきなり無詠唱で…」
「うん、ありがとう…あの時感じたのは、子供とは思えない強い意志だったわ。
そうだったの…」
「それからも、毎日魔法を練っていたし、言葉も必死で覚えた。
筋肉だって鍛えたし字も覚えた。それは、前の世界で生きてきた記憶があったからできた事なんだ。
そして、実質18才の僕はライアのことが好きだ。
マリーも好きだし、母さんも好きだ」
「前の世界では、死んだの?」
「多分、死んでいる」
「そう。分かったわ。
じゃあ、私の話を聞いてちょうだい。
18才なら理解できると思うわ」
「うん」
「5年前に滅ぼされた国があるの。
ミシティーという国で、私はそこの第3王女ジェシカ・クールカンよ。
あなたのお父さんは、宰相の息子でダン・コルトライ。
国を滅ぼした敵国はガンダルカン帝国。隣の国よ。
私は国を再興したいとか考えていないけれど、それを望む国民はまだ残っている。
ライアとマリーの家族も多分生きていて、おそらく私が立ち上がるのを待っているはずよ」
「その国はどこにあったの」
「ここから東に何日も行った海に面した国よ」
「だからライアは海の魚が好きなんだ。エルフなのに変なのって思ってた」
「ひどいです…」
「ガンダルカン帝国は、私が生きていることを知っているハズなの。
だから、下手に動けばガンダルカン帝国に追われることになるわ」
「じゃあ、僕が調べてみるよ」
「危険です!」
「ジャーン、これがあれば大丈夫」
「シンジ・オオガミ、これは?」
「僕のギルドカード。産まれる前の名前で作ったギルドカードだよ。
冒険者ランクもAだし、空を飛んでいけば海まで1時間でいける」
「本当に空を飛べるんですか!」
「うん」
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