最終話「試合後、そして…」
【決着時のスコア】
太陽…得点2、着用物1、戦利品2
霧子…得点9、着用物8、戦利品9
【霧子の着用物】
○スカート
○ブレザー
○女子用ネクタイ(女子はリボンと選択式)
○ワイシャツ
○インナーシャツ
○タイツ(黒色/60デニール)
○ブラジャー
○ショーツ
以上の8点。
【太陽の着用物】
○前後逆に着用したワイシャツ
【試合結果】
○無効試合につき勝敗なし
7回裏に突如行われた
「ふう…これで視えるわ。さあ、
霧子は眼鏡を掛けると普段の霧子に戻った。
年相応の女の子らしさを隠し、周囲から
「はい。
「…随分と自信過剰な
「確かにそうですね。僕は7回表までに累計で44問出題されてたった2問しか正解出来なかったので、
「ふーん…それならば、どうして私は私が負けると考えたのかしら?」
「それは、眼です」
太陽は核心を突いた。
その瞬間、霧子は微笑んだように見えた。
「ふふふ、どうやらこの試合、私の完敗のようね」
「いえ、
「ふっ、そうね。それにしても、まさかこんな
「はい。
水無月とは、太陽を剣高クイズ部に連れてきた張本人、太陽と同じクラスで隣の席に座る女の子、
「そう、
「悪気があって話したわけではないと思うので程々にしてあげてください」
「もし
「それは厳しいですね…!!!」
この時、太陽は気がついた。冗談みたく笑いながら折檻と言った霧子の目が全く笑っていなかったことを…
(マジか…
「とはいえ、
「はい?」
「
「ええっ!?」
突然の
「今回の私との試合、これはあなたが本当にこの剣高クイズ部へ在籍するに値する人物か確かめるためのもの。文字通り試し合いよ」
最後なので説明しておくが、剣高クイズ部とは、私立剣ヶ峰学園高等部クイズ部の略語である。
そして、これは余談だが、私立剣ヶ峰学園中等部にもクイズ部は存在している。だが、野球拳式クイズ部対決が存在しているのは高等部のみである。
「でも、
(負けても死にませんって…いや、待てよ?万が一、同級生に…それも同じクラスで隣の席に座る女の子に恋愛感情もなく全裸を見られたとしたら…それは確かに死ぬほど恥ずかしいかも知れない!いや、全裸を見る側になったとしても死ぬほど気まずい!これは何とかしないと!)
「
「辞退は許さないわよ?」
「!!!!!!」
太陽の気持ちを悟ったかのように霧子が言った。
「辞退は許さない。もしも辞退したり、試合当日に逃げたりしてみなさい。酷いわよ?」
「う……ひ、酷いとは?」
霧子はさっき折檻と言った時と同じ眼差しを太陽に送っていた。それは、眼鏡越しでもわかるほど鋭い眼差しだった。
「あら?
「で、出来れば一応聞いてみたいです」
「そう?それなら教えてあげるわ。もしこの試合を拒否するのであれば、私は次の全校集会の挨拶で、あなたに密室に呼び出されて眼鏡を奪われた後で無理矢理キ…キキ…キスされたと言うわ」
「ちょっと待ってください!それって明らかに…!!!」
「明らかに、なに?」
「あ…いやその……何でもないです。何でもないですけど、
「ふふ、女はみんなズルいのよ。覚えておきなさい」
この時、霧子の顔は真っ赤だった。
その理由は、キスという言葉を発したことにより、自分が太陽とキスをしたことを思い出したからだった。霧子は数分前に太陽とキスをしたことを思い出して顔を真っ赤に染めていたのである。
それを見た太陽は霧子に対して何も言い返せなくなってしまった。
数分前のキスを思い出して顔を真っ赤に染めながら脅迫してくる女の子、そんな女の子を非難出来る男はそうはいないだろう。
事実、照れながら脅迫してくる霧子に太陽は何も言い返せなかった。
況してや
「覚えておきます。
「なぜ私だけなのよ。女はみんなズルいと教えたでしょう?それに色々とって何なの?文句がある時は明確にしなさい」
「色々は色々です」
「
「なら一つだけ教えてあげますね」
「上から目線なのが気にいらないわね。でもまあ聞いてあげるわ。さっさと言いなさい」
「
太陽は言うことだけ言って剣高クイズ部の部室から飛び出していった。
「ななななっ!?何を言うのよ!?ちょっと待ちなさい!こら!逃げるつもりなの!廊下は走らないの!」
「ごめんなさい!お叱りは今度受けますから今日は失礼します!」
「待て!
霧子が校則を破って太陽を捕まえんがために駆け出そうとした時だった。
『
剣ヶ峰学園の理事長でもある霧子を呼び出す校内放送が流れた。
「ちっ!こんな時に何なのよ、まったく!…まあいいわ。
霧子は太陽の後ろ姿に語りかけていた。
さっき行われた
ここで、
太陽と霧子が途中で説明をやめてしまった、霧子が
その理由は、太陽
では何故、霧子は太陽の攻撃で負けると判断したのか?
その理由が隠された部屋の扉を開く鍵は三つある。
一つ目の鍵は、太陽の言った眼という言葉である。眼とは言わずもがな霧子の裸眼視力のことである。
二つ目の鍵は、出題ノート。
三つ目の鍵は、この二人の野球拳式クイズ対決には本来ならばいるべきである審判がいないことである。
霧子の裸眼視力、出題ノート、審判がいない、この三つの鍵が合わさると霧子があの場面で
では、これらの鍵で扉を開けていこう。
まずは、三つ目の鍵の扉!
審判がいないため、出題者による不正の確認は互いが互いに行うことになっている。
次は、二つ目の鍵の扉!!
出題者は出題する問題とその答えを必ず出題ノートに記入していなければならない。
最後に、三つ目の鍵の扉!!!
霧子は裸眼では
これらを組み合わせた結果、以下のような結論が生まれる。
霧子は8回表に出題を行うことが不可能だった!!!
何故なら、霧子は裸眼では何も見えないため出題ノートの内容を見れなかった。出題ノートに記入した問題の内容を記憶していたとしても、その問題が
7回表の失点後の出題に関しては、眼鏡を奪われる前に出題ノートを一度確認していたため、辛うじて出題ノートと出題内容の一致が保たれていた。それ故に眼鏡がなくとも出題を続けることが可能であったが、8回表にまた出題するとなるとそうはいかない。如何に聡明な霧子と言えど、数多の問題を記入した出題ノートの内容が何ページのどの辺りに記入されているのかを記憶することは不可能なのである。
7回表に眼鏡を奪われる前に少し見ただけの出題ノートに書かれた内容、それを6問に渡って完璧に記憶していただけでも霧子の常人離れした記憶力を推し量れるが、さすがの霧子もそれ以上の記憶は曖昧だった。
それに加えて、7回裏開始時点で太陽がタイム制度を使って時間を置いたことで記憶がより曖昧となり、少し前に見た出題ノートに書かれた内容を鮮明に思い出すこと、霧子にはそれが出来なくなっていた。
だからこそ霧子は7回裏で試合を終わらせる予定だった。
しかし、太陽の使った視覚に頼った出題形式により霧子は7回裏に試合を終わらせることが出来なくなった。
これらの事情により、霧子は8回表を迎えることが確定した。それはつまり、連続押し出しによる負けが確定したのである。
そして、負けるとなると必然的に全裸にならなくてはならない。それを避けたいがために霧子は
これは、霧子の視力と出題ノートと審判がいないこと、三つの要素が全て合わさったことにより生まれた
もし、霧子の裸眼視力が悪くなければそうはならなかった。
もし、出題ノートというルールがなかったならばそうはならなかった。
もし、この対決に一人でも審判がいたのならばそうはならなかった。
しかし、三つのもしはどこにも存在していない。
あるのは、結果のみ。
果たしてこの結果は、本当に
否!
否!!
否!!!
断じて否である!!!!
この結果は、新入太陽という男の考えた戦略により導かれたものである。
そこに至るまでは紆余曲折あったものの、
もし、
しかし、この世にもしなんてものは存在していない。
以上だ!!!!!!!
では、
「ふぅ…やっと終わった。まったく、野球拳と野球式クイズ対決を組み合わせるなんて
霧子から逃げる様にして学園を飛び出した太陽は帰路に
激動の試合を乗り越えた太陽は独り言が止まらなかった。
「でも、もしあのまま
太陽は、霧子から命じられた次戦に向けて色々と考えていた。
脱がない脱がせない。
それが同じクラスで隣に座る水無月茜との野球拳式クイズ対決を乗り切るための戦略だった。
しかし、そうは言っても太陽も年頃の男であり、童貞である。どんなに繕っていても女体への興味は隠せないのである。
気まずさと理性と煩悩と友情の狭間に揺れる新入太陽…果たして彼は次戦を生き残ることが出来るのか!?
ズガーン!!!※落雷のSE※
次戦、公開未定!!!!!!!
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