第4話 謎の新職種
翌日の朝、港町マルリンにて
俺達は故郷の町に帰宅し、冒険者ギルドに来ていた。
このギルドは様々な職種の冒険者が集い、治安維持のためにモンスター討伐をさせ、その難易度に応じた報酬が支払われる場所である。
そう、俺達がここにきた理由は、昨日討伐したドラゴンの討伐報酬をいただくためなのだが、今日はいつもより人が多くザワついている感じだ。
「なあ、今日人が多くないか?」
「そうね、間違いなくいつもの倍以上いるわ、何かあったのかしら?」
俺達は窓口に行き、理由を聞くことにした。
「やあ窓口のお姉さん」
「こんにちわラゴウさん、今日は何用です?」
「ええ、討伐報酬の手続きに…で、長時間待たされているんですよね。何かあったんです?」
「ああ、実は今日からギルドの大きな仕様変更があって…」
「変更?」
「ええ、昨日、組合の会議で決まったらしくて。あ、ラゴウさん達登録所の係に呼ばれてますよ? そこで詳しい説明があると思います」
俺達は登録所受付に急いで向かった。
「ラゴウさん、レジェさんどうもお久しぶりです。冒険者登録してから数年たちますもんね」
「ですね、ところで何故俺達がここに?」
「あ、今から説明を…」
「あ、どぞ」
「実は新職種が追加された関係と、登録方法が変わった関係で、メンバーは再登録手続きしているところです」
「登録方法の変更?」
「あ、はい今までの職種は自己申告制でしたけど、今日からはこちらの『適正職種調べの水晶』で認定されたものが確定職種になります」
「ええっ?」
「お二人とも職種はなんでしたっけ?」
「せ、戦士。ほらっ剣持ってるし?」
ジト目で俺を見るレジェ。
「…武道家よ」
「なるほど、確か二人とも冒険者ランクはBでしたね。今回の達成でAランクになり、上位職種に変更されると思いますよ!」
「じゃいよいよ上級職の剣士に…」
「なるわけねーだろ、この大ウソつき野郎っ」
パチーン
レジェのデコピンが俺の額に炸裂する。
この前の件があって暴力はソフトになった。でも痛い。
「…じゃ夫婦漫才はそのへんにして、レジェさんからどうぞ」
レジェは何故か嬉しそうにしている。新職種が嬉しいんだろう。
「じゃ水晶に手を当てて、力抜いて―息吸って―はいて―はいOKです。あっ、やはりレジェさんは武闘家の上級職種である格闘家に決まりました。おめでとうございます!」
「やった―!」
ガッツポーズを取り喜ぶレジェ。良かったな…ほんとに良かった…そう、喜びのあまりいつもの癖で俺にボディブローを食らわせるまでは、ね…。
久しぶりに膝を着く俺。へへ、この感覚久しぶりだぜ。
「じゃ、ラゴウさんの番ですよ? どうしたんです? 膝なんかついて」
どうしたもこうしたもさ、今殴られたの見てたよね? 格闘家の一撃食らってたよね? そこら辺のデーモンやドラゴンなら破裂して死んじゃうぜ? あ、そうか毎度のことだからもう疑問にすら思われないのか。
俺は全身の気を素早く練り、破壊された体細胞組織を素早く回復させた。
「ふーお待たせしました。じゃお願いします」
「じゃ水晶に略って、ええっ? 何これ?」
登録受付のお姉さんは大声で叫んだ。
俺達は気になって『適正職種調べの水晶』をのぞき込む。
『魔導武闘家?』
三人の声が綺麗にはもる。
聞いたことがない職種だ。
「魔法剣士とかは聞いたことあるんですけどね…」
登録所のお姉さんはうろたえながら新しいマニュアルを調べている。
「あ、あった。えーっと何々…格闘家と賢者の総合職であり、気と魔力を複合させて体術と魔法で戦う職業ですって…て、ラゴウさん…魔法使えたんですね…」
「こいつ、ガタイいいし顔も名前も何処かの世紀末覇者みたいだし、そう思うよね…」
こいつ人をなんだと思って。あ、頑丈なサンドバックかなたぶん。
「あ、あと武器も登録手続きがいりますので、えっとレジェさんは…」
「私はこれよ…」
レジェは拳を前に突き出す。
「ですよね。さっきドラゴンの鱗より硬いラゴウさんにボディブロー入れてるの見て確信しました。なのでОKですよ」
いや、確認してないで止めろよ? なんだよOKって? 俺は全然OKじゃねーよ。
「じゃ、ラゴウさんはその武器ですよね?」
「あ、ハイ」
「…ギルド長ー出番ですよー」
「ほいほい、お待たせしました。儂がギルド長のギリウスになります」
なんと、驚いたことにそこには師匠が現れた。
「…師匠ここの長だったのか」
「ええっ?」
驚く俺とレジェ。
「ほっほ、昨日ぶりじゃな? まあ、先月から長を儂が引き継いだからの。ああ、この武器は儂が書いておくから」
「あっはーい、じゃ登録手続きは以上になります。後はクエスト報酬窓口に行って報酬をいただいてくださーい。お疲れ様でしたー」
何がどうなってんだこれ?
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