第3話 大魔導士ギリウス
あれは数年前の出来事だった。
近所の裏山で両親と武道の修行していた時、下山時に雪が降ってきて運悪く、ガケから転落してしまった。たまたま運良く、山に住み込んでいた師匠であるギリウスに拾われ、九死に一生を得た。
後継者を探していた師匠と生活していたところ、気を練るところとコツが似ていた関係もあり、俺はスポンジが水を吸収するかのごとく色んな技を覚えていった。
俺の命の恩人である師匠の後継者が欲しいという言葉を無下にもできなかったのである。ただ俺の誤算としては、剣に似た杖を剣と間違って数年も使っていたことだろう。
そして俺が剣士になりたいと知っていたにもかかわらず、師匠はこの技は炎の属性を持った剣撃だ、光の属性を持った剣撃だと大嘘をこいて俺に次々と魔法を仕込んでいたのである。
そう、俺が気の代わりに練っていたものは魔力だったのである。
そして最後はご存じの大技『ドラゴニックデス』。
この杖と同じ名前である失われた古代魔法の一つだ。
師匠はこの技を覚えた時、嬉しそうにこう言ったのだ。
「儂が数十年かけて覚えた技をお前はたったの数年で覚えた。まごうことなき天才じゃ。もう、お前に教えることは何もない。儂のことはもういいから下山して両親を安心させてあげなさい」
「てなわけ? わかるよね?」
「ふっふざけるなーー!」
ドパァン!
レジェの放った右回し蹴りが俺の顔面にヒットする。
「ぐっ…」
俺は咄嗟に首を捻り打撃の勢いを殺しダメージを軽減する。
「いやっホントなんだって、俺悪くないんだって…」
「そんな大魔導士が近所の裏山にタイミングよくホイホイ住み込むかぼけぇっ! 本当なら今すぐ大魔導士ギリウスを私の目の前に連れてこいっ」
「これ、悪いけどファンタジーあるあるだよっ! それにここ、エンシェントドラゴンが住む山であって、師匠の住む山ではないからねっ落ち着いてどうどうっ…」
「…ま、まあそうね。ごめんなさい」
レジェは申し訳なさそうにシュンとしている。
あ、素直に謝っている珍しいな。
おとなしいと可愛いなコイツ。
「ほっほっほっ、二人とも仲がいいこって、良きかな良きかな…」
「だ、だれっ?」
目の前には薄汚れた帽子とローブそして右手には巨大な赤い宝石が埋め込まれた杖を握っていた初老の老人がいつの間にか立っていた。
「ギリウス師匠どうしてここに?」
「ええっ? ほんとだ…この人町の冒険者ギルドのレジェンド冒険者一覧図鑑の写真で見たことある…確か大魔導士カテゴリーの最初の一ページに乗っている人よ…」
驚くレジェ。
「ほっほっほ、お前が古代魔法を実戦でどれだけ使えるか見て見たくての。どうやら何も心配ないようじゃな感心感心」
「師匠っありがとうございます」
「す、凄い、レジェンド冒険者からお墨付きの評価をいただいている…」
「あ、あのっ、師匠それはいいんですけど、何故俺を
「…おお、いかんいかん急いで帰宅しないと、そろそろ町のギルドの会合が始まるのを忘れとったわい。後言い忘れとったがその杖は形状を自分の好きなようカスタマイズできるからのっ。じゃーのっ」
師匠はそう言うと帰還の移動魔法『トベルーン』を使いあっという間に消えてしまい、残された俺とレジェは
「ご、ごめんねラゴウ蹴ったりして。疑ってほんとにごめんねっ。ねっ許して?」
落ち込んで涙目になっている俺に、レジェは頭をナデナデして
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