第5話 新装備を買いに行こう

 俺達は報酬を受け取りギルドを後にした。


 困ったな…。


 俺は剣士になりたくて努力してきたのだ。それが結果は、ギルド長お墨付きの新職種『魔導武闘家』になってしまった。しかも冒険者ランクもAになった関係で知名度も注目度もアップしてしまうだろう。


 このままでは、町での認識は魔導武闘家ラゴウになってしまう。何故だか知らないがネーミング的に世界中に広まりそうで怖い。うん、知らないけどきっとそう。


 その時、ポンとレジェから肩を叩かれた。


「貴方のことだから、どうしたら剣士として知名度を上げれるか考えてたんでしょ?」


ドキッ!

 こ、こいつ本物のエスパーじゃね?


「これ! 明日開催らしいよっ」


 レジェは一枚のビラを俺に見せた。


「『  』?」


「そう、参加して貴方の剣を使えると言う知名度を上げればいいじゃない! 我流でも剣の修行してたんでしょ? 参加すると思ってギルドでもう登録してきたわよ」

「おお、成程…頭いいなレジェ。ありがとう…」


「へへー」


 にこにこ笑いながら上機嫌のレジェ。


 なんだかんだ言ってもこいつは俺のこと真剣に考えてくれてるんだな。

 俺はレジェの優しさが正直嬉しかった。


「あ、でも俺剣持ってないよ?」

「馬鹿ね、今から武器屋に行って買えばいいじゃない? 丁度お金もできたことだしね? 私も新しい防具服買いたいんだよね…」


「よし、買いに行くか!」

「じゃ、まずは防具からいってみよ!」


 レジェは俺の手をぎゅっと握ると、防具屋に向かって走りだした。


   ♢


 町の防具屋に着いた俺達。


 店内には頑丈なプレートメイルや拳法着などの防具が散見される。


「これもあれもいいなー、ねラゴウこれ似合う?」

「似合う何着ても、元がいいから」


 俺はお世辞抜きの正直な感想をさらりと言った。


 正直こいつは喋らなければ、そこら辺の王族並みの美貌びぼうとスタイルを持っているのだ。実際に防具屋の客の九割以上の視線がレジェに向けられているのが、その証明になっている。


「えへへー」


 照れながらも、鏡を見てくるくると回り、物凄く嬉しそうに笑うレジェ。


 …たまにはこんな時間を過ごすのも悪くないよな。


 とその時、防具屋の親父さんが俺達に声をかけてきた。


「えっと…お客さん、ラゴウさん達?」

「あ、はい?」


「ちょっとこちらに」


 俺らは別室に連れられ、疑心暗鬼ぎしんあんきになる。何事だろうか…?


「あの…?」

「ああ、実は冒険者ギルドから委託されたものが…」


 店の親父が見せてくれたものは、なんと驚いたことに魔修羅神ましゅらしん我楼羅神がるらしんを模したデザインの銀の拳法着だった!

 

「わあ素敵…。親父センスいいわね! しかもこれすごい軽いわ。なんか力がみなぎってくるし」

「ペアルックじゃねーかこれ…」


 その銀の拳法着は、なんと昨日俺達が倒したドラゴンの体毛や鱗を元に作ったものだという。


「へへ、喜んでもらえて何より。そいつは着ると腕力と素早さが上がる代物でさ。あとは中級魔法やしょぼいブレス程度なら無効化してくれるぜ」

「素敵…気に入ったわ、これにしよ? ね? 」


 俺も正直防具選びは真剣だった。何故なら致命傷を受けるとそれは死に直結するからだ。


 そう、一番大事なことはレジェのボディブローを受けた時の衝撃をどれだけ緩和できるかということと、何発回避できるかが一番大事なのだ。それを考えると、この性能は間違いなく満点になる。


 よし、買おう今すぐに!


「そうだな、ところでこの性能かなりお高いんじゃ?」

「実は、お代は冒険者ギルドから頂いておりますので無料で」


「えっでも…」

「何でも冒険者ギルドの新方針で、昇給者と再登録受付をした方には、今後からこのような支給があるそうです。勿論お二人さんだけじゃなく、他に来た方々も対象となってます」


「成程…それはありがたいな」

「ええ、正直私達も助かっております。ほかの売り上げも上がっておりますので」


「そっか…良かったね」

「はい! それと付属としてレジェさんにはうろこから作られた魔法のピアスをラゴウさんには、えっと…体毛で編んだマフラー? になります」


「素敵、ギリウス様様だわ…」

「ふむ、このマフラー気がとおりやすいな、腹に巻けば打撃吸収の防具にもなる」


「あざっしたーまたのご利用をー」


 俺達は満足して防具屋をで、次は武器屋に向かった。


 がしかし、驚いたことにのだった。







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る