第3章、旧支配者のイースさん

第20話、海の王者と幸せ者とイースさん

 僕達は自分達の町に戻るのに行商人達と一緒に行く事にした。各行商人が護衛を雇うけど集まっていた方が襲われ難いので今回は5つの馬車と4つの商会で進む。

 ダゴン教団の仕事で山賊は狩り尽くされて海の藻屑にされているだろうから仕事は少ないだろうけどね


 気の良い魚人の門番さんに挨拶をして懐かしのホームタウンに向かう。色々な事があったけど楽しく美味しい思い出が出来たなあ。


 変わった事と言えばレンがダゴン教団に入った。教団の施設で産まれる中に彼の子供はいるのだろうか? 血を引いていても いなくても全て平等に施設で育てられる。変わっている宗教感覚だけど子供からすれば良いのだろう。

 あの教団は貿易をしていてお金を持っているし海では最強だ。教団の船を襲ったらどんな船でも魚人に舵を壊され船体に穴を空けられ逃げる小舟もひっくり返される。そしてダゴンの神様の供物になる。頼まれて海賊退治もしているそうだ。安全な航海が出来る教団は襲われない分儲かる。そんな事を教団のペンダントを首から下げたレンが教えてくれた。恐い恐い。


ピピピピキニシナイ


 町や村に住む人達にとっては山賊や海賊を討伐してくれる魚人のいる宗教でしかない。年に1度のお祭りは教団を知る機会だから気になる人は見に来るし魚の干物等をお土産に帰り話の種にするのだろう。


 そして、変わった事のもう1つエムがイースさんから雷弓を譲り受けた。簡単な手入れの方法を習いニコニコと早く撃ちたいと呟いていた。今のヨグスのパーティー内で1番好戦的なのは彼女だ。怒らせてはいけない。なぜなら彼女が突然に雷弓を撃って飛び出して帰って来ると鳥とか兎を手にしている。

 使いたくて小動物をどんどん狩っているがそんなに見つかるものなのか、エルフは凄いな。


 夜のおかずは豪華だなあ。また撃って飛び出していった。そろそろ夜営地が見えてくるかな?


「彼女ハ トリガーハッピー ナノダネ」


 イースさんの話では雷弓を撃つのが楽しくて仕方がない人の事をトリガーハッピーと言うそうです。エムはそれだ! 手段が目的になっている。


 もうすぐ着く夜営地では湯を沸かして鳥の羽をむしる仕事からかなあ。


ピピピピキニシナイ

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