銀河鉄道の夜に
恩寵は比ぶるべきもなく高く輝き
川面を満たす星明りは
透明な水をもっと透明にする
砂は燃え赤い風が吹いてくる
蠍座の星が燃えている
真っ赤に輝く
アンタレスの犠牲の星が燃えている
死が訪れて何も見えなくなって
幸いのかなしさを始めて知る
導かれていくもの
見送るもの
どこまでも連れだって行けはしないこと
別れとは
幸いの光りとなって静まっていくものと
幸いを求めてかなしみに胸を冷やすものとを
隔てること
深く輝く紫の時が刻まれている
美しい深い青の花々が咲き誇る岸辺に
黒曜石の台座がいくつもあり
そのうえで二つの宝石の玉が
二重の同心円を描き回っている
サファイアとトパーズの二人は溶け合い離れ
時は繰り返さないことを知らしめる
やがて一つの玉がころりと落ちて
残されたかなしい一つは旅立ちの支度を始める
もうすぐ夜明けが近い
目が覚めたらもう
夢は遠く離れてしまうけれど
いつでも銀河は天上に輝いている
わたしたちはいつでもそこへ戻ることが出来る
幸いというかなしみがそこへ導く限り
fff
(これを書いた直後に)
きっと子どものころ読んでいるはずでしたが、銀河鉄道の夜を始めてのように読みました。宮沢賢治という人のかなしいまでの祈りを感じ、これを書きます。きっともうすぐ消えてしまう余韻という詩情がまだ残っているうちに。今になって、やっとその言葉が届いたような気がしています。
冬の目眩 につき @nituki
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