第2話 妖

 喋る猫を見たことがあるだろうか?


 私はそんなのは存在しないと思っていた。

だが、喋る猫は存在した。


「悪かったな、久しぶりに外に出られたからな少々浮かれていた様だ」

「あ、いえ…… むしろ助けていただいたみたいで」


話が合わない。私は猫相手に一体何をしているのだろうか?

気づけば辺りは暗くなっていた。

家に帰って寝よ……


「それじゃ、私帰るんで」

「一つ、名前を教えてくれくれるかの?」

「愛菜です。柊 愛菜  」


猫は柊の名を聞き渋い顔をしたが、すぐに取り繕い


「何かあれば私を呼べ、一回だけなら願いを変えてやる」


そういうと消えていなくなってしまった。


服の汚れを一通り落とし家に帰った。

狐に化かされた気分だ。


国道10号線に沿って歩き、家に帰り着く。


お母さんが私の姿に驚いたが、滑って転んだだけとだけ伝え風呂に入った。

夕飯を食べ、自室に戻る。

天井を眺めつつ今日あったことを考えると、やはり不思議な出来事だった。


しばらくすると視界の隅で何かが動くことに気付いた。

そこには両手で収まるくらいのそれはもう小さい男の子がいた。

男の子はこちらに気づくと、 『見えてるの?』 という手振りをする。

頷くと彼は驚き、うれしがっていた。


そう言えば、よく爺ちゃんがこんな話をしてくれたっけ、


「愛菜、この世界にはな、普通の人には見えないものたちがいるんだよ

その者たちのことを 『妖』というんだよ」


この日を境に私は日記を取ることにした。妖との様々な出会いをここに綴ろうと思う。そして、この日記の名前は…… 『妖日記』だ。





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妖日記 @yatamikami

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