2話

 二年に上がり「二人きりで出かけるくらいはしてもいいんじゃないか?」と思った僕は、授業が終わって彼女と会い、休みの日にデートに行く約束をしてみた。彼女は嬉しそうに、しかし照れ笑いをしながら「楽しそうだね。でも、男の人と二人だけで遊びに行くのって初めてだから、なんか緊張するなぁ」と言った。

そんなことを言われたら、こっちだって緊張するよ。そう思ったが、気恥ずかしいので口には出さなかった。

「僕も、女の人と二人だけで遊びに行くのは初めてだよ。じゃあとりあえず、土曜日に駅前で待ち合わせってことで…」僕は照れているせいか、無意識に少しだけ早口で喋った。

 約束の日、駅前で待っていると、彼女は僕を呼びながら早歩きで近寄ってきた。「ごめん!ちょっと準備に時間かかっちゃって…」謝ってはいるが、五分ほどしかオーバーしていない。

「大丈夫だよ、全然待ってない。それより、その服おしゃれだね」

「そう?ありがとう。デートだから、なるべくおしゃれしようかなって」

夏の兆しが現れ始める五月だったためか、彼女は水色のワンピースを着てきた。爽やかな印象だった。

「イヤリングつけてるんだね。髪型もいつもより違う感じ…」

「うん、そう。デートだから色々とね…それより、約束してた喫茶店行かない?」彼女はなぜか、恥ずかしそうにデートを催促した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

名曲を物語にしてみた ヒナタジャンクション @Hinata-Junction

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ