名曲を物語にしてみた
ヒナタジャンクション
King Gnu「白日」1話
あの人をなくしてから長い月日が経つが、今でも冬になれば思い出す。どれだけ悔やんでも、失った時間や人間は戻ってこない。どれだけ悔やんでも…
彼女と出会ったのは大学に入ってからだった。上京して地元の友人とも疎遠になり、心細い思いをしていた僕に最初に話しかけてきたのが彼女だった。出身地の話から始まり、最近観ているドラマの話、授業が難しいという話、東京での一人暮らしが寂しいという話… 連絡先も交換し、借りているアパートもお互いに近場にあったこともあり、僕達の距離はますます近くなっていった。
顔だけで人を好きになるような単純な男ではないという妙なプライドがあった僕。だけど彼女は、そんなプライドを遠のけるほど可愛くて、そして何より優しかった。一年の冬、風邪をひいた僕を看病してくれたのは彼女だった。料理が苦手と言っていたが、彼女の作るお粥は本当に美味しくて、優しい味がした。栄養ドリンクや風邪薬を買ってきてくれたとき、情けない話だが「親以外の誰かからここまで優しくされるのは初めてだなぁ」と、熱をまとった頭で考えてたっけ。
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