第19話

それからどれくらい時間がたったのかはわからない。

1日にも感じたし、一瞬にも感じたし、永遠にも思えた。


「もう大丈夫だから」と言われて外に出ると、あの夕日の見える場所に立っていた。


「体の調子はどうだ?緊張したろ?魔王の部屋で」

龍の声を聞くのも久しぶりな気がした。


「大丈夫・・、あの部屋、なんかいい香りがしてうとうとしてたかも。龍は大丈夫か?」

「どうって事ないさ」


龍は肩をすくめて笑ってみせる。

そして、真面目な顔になって俺に頭を下げた。


「今度の件、本当に悪かった」

「わわ!何だよ急に・・!別に龍が悪い訳じやないだろ?・・それに、あの人・・・結局何だったんだ?」


龍は俺にサユリアさんの事を教えてくれた。


「へー、暗黒勇者って感じなんだな、かっこいいな!」

「よくねぇ・・、あんなんが従妹なんて恥ずかしいぜ・・何が青薔薇の勇者だ、ただの変態じゃねーか」

「従妹なんだ、じゃあ幼馴染みたいなもんだな・・小さい頃から一緒に剣の稽古とかしたのか?」

「いや、領地でお互い遠くてな、祝い事なんかある時に会うくらいだった・・昔はああじゃなかったんだけどなぁ・・」


龍が遠くを見て「いつからあんなド変態になったんだ」と呟いた。


「変態って何だ?」「いやいや、多分もう真ちゃんに会う事もないだろうぜ」


綺麗な人だった・・と思う。

ちょっと困った感じなのは何となく伝わった。

女の子なのに、男の名前つけられて男として育てられて・・勇者になった道のりだって生易しいものじゃないと思うし・・・


「「サユリア」・・さんて名前は誰がつけた名前?」

「さぁな、サユリアって自分で名付けて、名乗るのがアイツなりの精一杯の反抗なんじゃねーの?」


龍の話と、オッサンがこの街の魔王に頼んでまで俺を隠したくらいだから、それなりの事件だったんだろうけど。

俺はサユリアさんって、そこまで悪い人だとは思えないけど・・・気をつけておこう。



「意外だな、バウニーの所にすっ飛んで行くと思ったんだけど」龍に言われて、俺は手を握りしめる。


「オッサンが二人は大丈夫だって言った、俺はそれを信じてるから大丈夫」

「・・・なーんか、こう・・・魔王といい真ちゃんといい・・調子狂うなぁ・・・」

「え?」

「まぁ、いい感じに吹っ切れたのならいいか!飯にしようぜ!」


ばしん!と背中を叩かれる。

ほら、これで、いつも通りだ。



「よく耐えたね、バウニーの身体能力のおかげで怪我は軽いよ」


魔王の手持ちの薬液を口にした夏樹は薄く微笑んで返した。

「真ちゃんは・・」

「大丈夫、僕の言葉を信用してくれて・・・大人しくしていてくれた」

「・・・・・そう、ですか・・・」

「助けにくるのが遅くなってすまない、恐怖を感じたかい?」

「いいえ、決して魔王様のせいでは・・私の力が至らなかった・・それだけの事。

バウニー族として、人間に後れをとるなんて・・・・・、しかも女王の私が・・・」


夏樹は体を起こすと、慌てて介添えをする咲を手で制して


「あの人間は、始末するべきでした・・次こそは・・本気で・・」


夏樹の手元がざわざわと騒いで爪が戦闘態勢に入る。


「いやいや、本気を出しちゃ駄目だよ。もうあの人間に会う事もないし、会ったとしても今度こそ僕が何とかしよう。

僕たちが何かしたら真君にどんな影響があるかわからない、その因果が紐解けるまでは、皆耐えて欲しい」


「・・・はい・・」


夏樹の腕は力を失くし、そして折られた脚をそっとさする。


「!凄い・・本当にもう治っています・・、魔王様のお薬は凄いですね・・」

「他にどこか痛みはないかい?」

「大丈夫です・・小さい傷も全部治っています・・あとは」

「うん?」


夏樹は自分の体を隠すように両手で抱きしめた。


「少し泥だらけになってしまって・・・、真ちゃんに会う前に水浴びをしてきます」


頬を紅く染めて俯く夏樹の、その意図も行動もわからない魔王は「もう少し体を休めた方がいいよ」と声をかけたが。

バウニー達は近くの川に向かって跳びだして行った。




「改めて見ると、色んな店があるんだなぁ・・・」


もう陽は落ちて足もとは暗くなっていたが、夜店が灯す光が路地を照らしていて眩しいくらいだ。


「龍はもう買い物はいいのか?」「出来ればもう少し回りたいな、道具屋・・掘り出しもんがありそうな気がする」

「じゃ、明日は道具屋ツアーだな!」「おう!」


特に目的もなく歩く店先で、何か光った気がして足を止めた。

そこは宝石・・いや、石の加工品の店らしい。

どれもこれも見た事もないくらい綺麗な石で作られたアクセサリーたちは、夜店の灯りにキラキラと反射していた。


「うわー・・本物の宝石みたいだ」

「お、あの子にプレゼトすんのか?いいぜ?この俺様が買ってやる!好きなのを選びな!」

「べ・・別に・・、そんなんじゃ・・・」「いーからいーから!!」


とりあえず・・・俺は座り込んで、商品を見てみた。

どれもこれも綺麗だ・・・・・夏樹なら何でも似合うだろうと・・思って恥ずかしくなる。

恥ずかしくて顔を背けた先・・・サンゴの枝にぶら下がったペンダント・・・


「いーねぇ、お揃いのペンダント」「・・・・お揃い」


ふと夏樹と咲の姿が浮かぶ。


「おい、オッサン、それくれ。こいつが彼女にプレゼントするんだってよ!若い二人の為にも勉強よろしく!」

「か、彼女じゃない!夏樹と咲は姉妹みたいにいつも一緒にいるから!」

「はいはい」


龍は俺の話を無視して、店主と値段交渉を始めてしまった。

・・夏樹にだけプレゼントしたら、咲が可哀想だろ・・・それだけだってーの・・。



それからも龍にからかわれ続け・・・

晩飯も食ったら、なんか急に眠気に襲われて・・・・早い時間なのか遅い時間なのかわからないけど、そのまま寝る事にした。


「龍も早く寝ろよな・・・明日・・道具屋・・・いく・・」

「おう」





「なーんか、変なんだよな」「「なーんか」、とは?」


勇者はベットに寝転がり、天井を見たまま


「なーんかな・・前の真ちゃんなら、すぐにバウニーの様子を見に行くとか、プレゼントだって買ったんだぜ?

それを今すぐ届けたいとか言い出すと思うんだよ」


魔王は宿屋の部屋の入り口で何かを考えるような仕草をして。


「それは、真君が僕を信用して」「信用はしてるだろうさ、でも、それでも「会いに行きたい」と言うと思う、俺に伺うくらいの仕草もすると思う」


魔王はもう一度考える。


「僕は人間の「そういう」部分はわからない、ただの気まぐれかもしれない、本当に疲れてしまってそれどころじゃない、人間の「それ」は

数多く存在する。そう言う事を言うだけ言って、勇者は「気のせい」だと自己完結して寝るのだろう。本当に「整えて」欲しい。」

「俺の気のせいならいいさ。でも明らかに感情を殺してる、俺は勇者だ、敵に気取られないよう気を殺す時もあるから表情でそういうのわかるんだよ。でも真ちゃんはただの14歳の人間だ。以前はもっと、心に思う事さえ口にしてた」

「では、成長、という考えはどうか」

「確かに・・異世界に来たのに、思い描いた世界じゃない事や、自分に力がない事、最初はそれなりにへこんでた、つい最近だって獣人の売買を見て吐いた程だぜ?精神的鍛錬になったとは言え早すぎる、魔王の部屋に居すぎて精神が達観したのか?

でも・・・なんか。嫌な予感がするんだよな・・・ぁ・・」

「では、次の見解を」

「ま、俺の気のせいさ、もう寝るわ」

「・・・・・・・・・・・・・・・」


魔王は「僕の予想が的中した」と憮然と言い放った。




潮風と、柔らかい陽の光を感じて目を開けた。

窓の外を見ている龍の背中が見える。


「おはよ・・・」「おう」


龍はいつ寝てるんだろう。


「龍は・・寝てんのか?」

「寝てるさ、ただ・・俺の聖剣が血を求めて疼きやがってどうも・・な・・・」

「龍の聖剣って・・聖属性の剣じゃなかったのか?血を求めるものなのか?」


龍は・・・肩を震わせて・・・・


「ノッて来いや!いつもならそこで「かっこいい!」っていうだろ!」

「かっこいいはかっこいいけど・・・・」「けど?!」「聖属性が血を求めたら怖ぇよ・・」


ふっ・・・と龍が笑って、なんか俺も可笑しくて笑った。


「あーあ、朝から馬鹿みてーな事しちまったわ!笑った笑った!」

「あの剣は龍を守る剣だと俺は思うよ。あ、勿論俺の相棒、グロリアス・チェインもな!」

「はいはい、わかったわかった。まぁ聖剣が便利なのは研がなくても刃こぼれしない所かな」

「すげー!使い放題じゃんか!!」

「何百年て受け継がれる聖剣が、いざって時に刃こぼれしてたり、錆びてたらウケるだろ、

逆にそういう剣を「聖剣」だって言い張って売りつけてくる奴には気をつけろよ」

「確かに・・・くくくっ・・なんか、想像したら、なんか・・・本当に笑えるな!!」

「・・おう・・」


俺たちは、また小突き合いながら一階の食堂に降りて朝飯を食う事にした。

今日も腹ペコだ。


飯を食った後は、道具屋も3軒くらい回った。


「うお!これ銀の糸じゃねーか・・まじか・・」

「珍しいの?」


龍は道具屋の店主の様子を見て・・・店主はおばあさんで、うとうと居眠りしていた。


「うーん・・・今すぐ必要って訳ではないんだけどな・・・・、丈夫だし色んな事に使える」

「昨日行った大きな店にも無かったな」

「んー」


龍は相当迷ってるみたいだ。


「金もたくさんあるんだから、欲しいものは買えばいいんじゃないのか?」

「それもそうだな!おい店主!」


店主は「はいはい、なんでしょう」と答え、ゆっくり近づいて来る。

「これ、本物の銀の糸か?」龍が銀の糸の束を見せると店主は「えぇ、それはもう、銀の蚕の繭から紡いだ糸ですよ、ただ」

「ただ?」「相当古いものだから、なにせ私が娘時分の時からこの店にあるんですよ・・・貴重なものなのに全然売れなくてねぇ・・」


それは・・と俺は店をぐるりと見渡す。

店は街の端にあって小さくて古い、おそらく道具屋だとはわかるだろうけど、勇者や冒険者が使う道具がありそうな店には

とても見えないし、銀の糸は多くの雑貨に潰されていた。

これが「掘り出し物」ってやつか。


「聖剣の加護ありだぜ!店主、これをもらおう、いくらだ」

「えぇ・・・そうですねぇ・・・120金貨でしょうか」

「おいおい120はぼったくりだろ、今まで埃をかぶってたんだ、半額にしろ!」

「いえいえ、亡くなったじいさんとの約束で、これは120金貨で、と・・・」

「それ今考えてたろ、てめーのじーさんなら外で昼寝してんじゃねーか!」

「そうそう・・じいさんが命がけで捕まえて来た蚕から、私が紡いだんですよぅ・・・だからねぇ・・・」

「・・・チッ・・・80だ!」「110」「100!」「100金貨で、毎度ありがとうございます」


うーん・・・・龍の値切り交渉はいつものことだけど、このおばあさんも中々やるな。


「悪いが、今手持ちがねぇ、ちょっと待ってろ」


龍は店を出て、通りに入ってすぐ出てきた。


「きっちり75だ!」


えー・・・・・


「ええ、75金貨で」


あれ?

龍は俺にウインクして見せた。


「さっき100って」と言いかけた俺の口を塞ぎ、「いい買い物だったぜ!」と颯爽と店を後にした。


「何か悪い術でも使ったのか?」「ばぁか!あれぐらいのばーさんは、ああいうもんなんだよ。自分で言った事なんかすぐ忘れちまう」

「そんな・・」「金はしっかり払ったんだ!文句はあるまい!」


龍は手に入れた銀の糸を道具袋に入れると、しっかりと口を閉じた。


「いやー、街中を廻った甲斐があったぜ。さて」

「まだ道具屋なんてあったかな」

「いいや、バウニーの様子でも見に行こうぜ」


龍は歩き出す。

でも・・・


「龍!」「あ?」


でも・・・・


「あ、夏樹たちの事はオッサンに任せるって決めたんだ。オッサンが大丈夫って言ったんだ、だから・・・」

「だから、何だよ、昨日のブツも渡さなきゃだろ?」


ローブの内ポケットに入れたアクセサリーが、シャリン・・・と軽い音を立てた。


「今じゃなくてもいいんだ、それより他に掘り出し物無いか探しに行こうぜ!」

「行かねー」

「は?・・何言ってんだよ・・・龍が・・道具が大事だって・・」


そうだ、その道具は「俺を守る為」のものだ。

だから、俺は、これでも龍の手伝いをしてるつもりだ・・だって他に何も出来ないだろ。

昨日だって、原因は俺だ。

龍のあんな顔初めてみた、怖かった、従妹のサユリアさんから俺を守る為に龍はあんな顔をするんだ・・・

龍は優しくて、いい奴なのに・・・・


「ガキが、昨日から何のつもりだよ」


頭を小突かれて、もう止まらなかった。


「誰がガキだよ!龍こそ!何なんだよ!俺は龍の力になりたいし、オッサンを信頼してる!だから俺の事はいいんだよ!

龍は俺の為に誰も傷つけなくていいし!オッサンは俺をあんなに気にかけなくていい!

夏樹も咲もわかってるはずだ、俺・・・っ・・俺なんかよりずっと強いじゃないか!俺に心配なんかされなくたっていいんだ!」


道を往く人々が俺たちを見ながら通りすぎる。


「皆、俺を守ってくれてるんだろ?!

俺が何も出来ないから、でも・・・・強くなるから、俺、早く強くなるから!!頑張るから!!!」


悔しい、辛い、痛い・・・・

泣くな泣くな泣くな!!!

決めただろ!

泣くな!甘えるな!


両手を握りしめる。俯いてしまう。龍の顔を見る事が出来ない。


「テメーが強くなるなんてあと何十年先だよ!」龍が笑う。


「・・っが、」「頑張って強くなれたら苦労しねーんだよ、ほれ、泣くな泣くな・・俺がいじめてるみたいだろ?」


泣いて・・なんかないっ!


「なんで・・・っ・・・、俺・・シルバーの勇者なのにっ・・チートなのにっ・・・なんで・・強く・・な・・・れないんだよ!

俺も皆を守る・・・方が・・いいよ・・・っ・・・、守りったいよっ・・・・」

「わかったわかったって・・」


「ガキ扱いすんな!

俺だって何度も何度も強くなりたくて、その度に自分に力がない事がわかって・・くるし・・くて・・・っ!

龍みたいな強い奴にはっ、わかんねーよ!!!」

「はいはい」


いつの間にか手を引かれている事に気づく・・・街の入り口に向かって・・・


「・・・っだめ・・・だ!オッサンが!大丈夫って言ったんだ!だから」

「嘘かもしんねーじゃん」

「オッサンが俺に嘘つく訳ねーだろ!放せよ!行っちゃ駄目なんだって!!!」

「それは何故かな」

「だって!行ったら!!オッサンを信用してない事になる」

「そんな契約なんか結んだかな」


いつの間にか側にはオッサンもいて、龍は相変わらず俺の手を引いて歩いて行く。


「真君が僕を本当に信頼してくれている事、これでも理解しているつもりなのだけれど。

僕・・何か、君を追い詰めるような言葉を口にしたかな」


「・・っ・・・だって・・・・、オッサンが・・・嫌な気持ちになるのは・・嫌だ・・・」

「はーっはは!魔王が嫌な「気持ち」ってお前、魔王に「心」なんかねーよ、だから魔王なんだろ?」

「違う!オッサンはいつも優しいし・・・」

「そうそう、僕は、真君、君にだけは人間らしく写っているのがとてもとてもね、とても心地よいのだよ?

嬉しく、思う。ポンコツ勇者よりは人の良心というものを持ちあわせているつもりさ。

でもね、僕にもわからないものがあってね、是非真君に教えてもらいたいんだ」

「・・え?」


街の入り口を抜ける。

少し道を進んだ先、草むらに隠れるように夏樹の耳が見えた。側には咲がいるのか「姫様!頑張って!」と応援している。


「あのバウニーは、体に泥がついてしまって、その姿のままでは真君に会えないと言うんだ」

「!!ま、魔王様!!そ、それは!!」


草むらから夏樹が・・顔を真っ赤にして飛び出してきて・・・また草むらに隠れてしまった。


「そりゃ、好きな男の前ではいつも綺麗でいたい乙女心ってやつだ・ろ!!」


背中を押されて。

耳を両手で伏せて、顔を赤くしている夏樹と対峙する・・・・


「・・・・なっ・・・」

「真ちゃん?」「お兄ちゃん?」


夏樹を見る・・・どこにも怪我してないみたいだ・・・大丈夫、オッサンがそう言ったんだ。

だから、大丈夫・・なのは・・わかっ・・・


「良かった!!!!良かった!!!!」


俺は・・その時気づいて居なかったけど・・・・二人を抱きしめて、ひたすら「良かった」と繰り返して大泣きしていた。


「ほんっ・・・と、良かった・・・よかったよぉ~!!!」


大事な幼馴染は体が弱い、気も弱くて、声も小さい・・バウニーと言われても・・・

大事な妹は少し気が強い所があるが、甘えん坊で、いつもおばあちゃんにくっついていた・・・・・違うと言われても。

俺の中では、二人は大事な・・大事な家族で、大切な女の子達だ。



シャラン・・・と微かな音がする。


獣人は人間に嫌われている。

人間は獣人を売買したり無理に労働させたりしてる・・・。

そんな人間が作ったもの・・・・・


「・・・・これ・・・・、人間の・・・店で、見つけたんだ・・・よ。同じ形で・・ふたつ並んでるの見たら・・・夏樹と咲を思い出して・・それで・・」


「まぁ・・・」「え!私にもくれるの?お兄ちゃん!」


やったぁ!と咲がはしゃぐ・・・隣で夏樹は耳の先まで赤くして震えてる・・やっぱり・・人間の作ったものなんか・・・。


「ありがとう、真ちゃん・・・ありがとう・・・・」


小さな声・・しっかり一言一言噛みしめるように言って、夏樹が顔をあげる。

その瞳からいくつも涙をこぼしている。


「ありがとう・・・私たちを心配してくれて・・愛してくれて・・・こんな素敵な贈り物まで・・・本当にありがとう・・・ありがとう・・・・」

「わわっ!!な、泣くなよ・・夏樹・・・!!」

「ごめんなさい本当に嬉し・・・くって・・・・大切にしますね・・・」


泣きながら微笑む夏樹は・・本当に綺麗で可愛い・・・なぁ・・。


「き、き・・気に入ってもらえたら・・・それで・・・・じゃ!行くぞ!龍!!!」

「は?ハグとかキスとかは?」

「ば!キキキ、とかバカ!そういう事言うんじゃねーよ!バァカ!!!」



今度は龍の腕を掴んで街に戻る。

ほんとに龍はバカだな・・・・バカな奴だ!!


俺達はまた小突き合いながら歩く。

ほんっと・・・バカみてーに笑って。

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