第7話

 で。


 頭を強く打つ。

 あまりにも激しい鈍痛。


 意識を失いかけるが、しょっぱい何かが鼻と口から入り込んできて、思わず目を開ける。


 海水に満たされたバス車内。瞬く間に静寂と死に支配された空間。やはりそこは、冷たくて、暗い。微量な光が差し込む青の底で、僕と同じように苦しみあえぐ他の乗客を見た。


 その中に笹島もいる。


 茶髪ロンゲもいる。


 サラリーマンも。


 そして猫も。

 猫?

 ああ。



 そういえば、猫は泳げないんだったか。

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