気持ちと不思議なシスター

 この前の日から、シスターがやけに俺の目の前でモジモジするようになった。


 いつもなら、目が会った瞬間にニコリ、と嬉しそうに笑って、可愛らしくブンブンと手を振って、俺の心臓がドキリと跳ねるまでが一連の流れだったのに、今では、目が会った瞬間、少しだけ頬を赤くして、サッ、と目を逸らして、そのまま胸の辺りで手を振るので、それはそれで心臓が跳ねるという流れが形成し始めている。


 看病で気まずくなったのか?とかは思ったが、別にそんなことではなく、いつも通りにシスターは俺の腕を掴んで教会に連れていくし、黒猫も前からやけに俺に懐いたし………。


 とまぁ、一旦この話は置いておくが、今日のシスターはいつもより変だ。学校帰りの俺をいつもよりも強気で教会内に連れ込んだシスターは、俺を礼拝堂?の所の椅子に座らせると、なんかすっごいモジモジし始めた。


「……その……キミ」


 いつものシスターでは無いように、指先をつんつんとさせながらモジモジしているシスター。そんなシスターもかわーーーーじゃなくて。


「……どうしたんだ?その、最近シスターの様子もおかしいし……」


「うっ……それは………原因の八割はキミのせいだというかなんか………」


「え?俺?」


「そ、そう。この前、キミに看病して貰ってから……妙に、私はドキドキしているんだ」


「……シスター?」


 どこか、上の空の様子で、こちらに近寄ってくるシスター。


「今まで、このような気持ちはキミと出会ってから何度もあったけどーーーこんなにドキドキするのは初めてなんだ」


 シスターの両手が俺の肩に置かれる。反射で後ろに下がろうとしたが、俺は今椅子に座っているため、下がれずにいた。


「キミーーーー教えてくれるか?この、気持ちの向け方についてーーーー」


「シスター………」


 蕩けた顔で、無意識なのかシスターは俺の顔に顔を近づけ始める。シスターの綺麗な顔がこちらに近づいてくるので、否応にも俺の心臓は高鳴る。


 俺は、近づいてくるシスターの顔に、なんの抵抗もなくーーーーーーーーー


「………にゃー」


「「っ!!!」」


 バッ!と黒猫の鳴き声が聞こえた瞬間に、シスターの顔が離れる。シスターの顔は、びっくりなくらい真っ赤だが、俺も人のことは言えないだろう。


「く、クロっ!!」


「にゃー」


 シスターが俺たちを凝視しているように座っている黒猫の元へ向かい、持ち上げて、軽くブンブンと揺らし始めた。


 ……なんか、すごいもったいなかったような気がしたが……まぁいいか。


 きっと、俺はシスターに惚れているんだろう。ちょっと普段の言動は変だが、それを補う以上の可愛らしさや、優しさがある。


 先程のシスターの行動についてはーーーーまぁ、とても残念だったが、これからーーーまた、不思議な関係を続けながら模索していこう。


「シスター」


「……キミ」




 隣の家の不思議なシスターさんと不思議な関係

 ~END~

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隣の家の不思議なシスターさんと不思議な関係 結月アオバ @YuzukiAoba

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