第13話 尾

あれから2ヶ月。

幼い頃に生き別れた双子の兄弟を探すような気持ちで、まだ会えぬぼーさんを想うようになった。


週に1度曜日を変えて店に顔を出してみたが、やはり皆、俺をぼーさんと間違え、笑顔を向けた後に顔を強ばらせる。そしてお決まりのようにママさんから「やーさんよ」と紹介され、またそれぞれの人から、ぼーさんの人となりを聞くのだ。

ぼーさんは慕われていた。

皆、口を揃えて「いい人だ」と言う。

いい人…。

人は、人の良し悪しを何で判断するのだろう。


不思議な事に、ぼーさんが慕われているということが自分にとって誇らしいような気持ちになっていた。

ぼーさんはもうこの店には現れないのだろうか。もう、この町には居ないのだろうか。

生きているのだろうか。


生きていてほしい。

そして聞きたい事がある。


俺はお前に聞きたい事がある。



胸の端末が震えた。


『所在確認できました。マル被 自転車。尾行しています。合流できますか』


相方からの連絡を確認し、送られてきたマップを確認する。

「近いな。一本道だ」


『反対側から合流する』

メールを送って俺は走り出した。










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