第12話 帽

「やーさんはぼーさんの他にあと2人見つけました? 3人の残りの2人」

「いやいや、私は自分に似てる人になんて出会った事ないんですよ」

「え〜、もったいない」

「ドッペルゲンガーだよね」

「そんなに似てますか」

「似てる!! けど… 」

「やっぱり、、ぼーさんではなくて、やーさんはやーさんって感じ」

「うん。 似て非なる って感じ」

「ますますお会いしたいと思いますね。だけど、ぼーさんって方は、最近顔を出さないんだとか…」

「でも、この町にはいると思う」

「どうしてそう思うんです?」

「私、朝、バスの中から見たのよ。駅の方に歩くぼーさんを。帽子をかぶってたけど、あれはぼーさんだったと思う」

「帽子? ぼーさんが帽子をかぶってるの見たことないな〜」

「でも、かぶるでしょ」

「私ですか?」

「うん。ニット帽」

「ニット帽…、はかぶりませんね。野球帽か登山帽ならかぶりますけど」

「ハンチングは?」

「ぁぁ、やくみつるみたいな?」

「やくみつる?」

「知りませんか?漫画家の」

「アハハ! これだ、やくみつる」

ママと女子達3人はスマホを見て大笑い。

俺には、何が面白いのかさっぱりわからない。勝手に俺に似合う帽子はどれかで盛り上がっている。

ぼーさんは、まだこの町にいるのだろうか。

この店で会える事ができるのだろうか。


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