第8話 目

「そんなに似てますか? ぇぇと、、ぼーさんって方に」

「ええ。似てるんです。 な」「うん、似てる。 違うのは… 目かな」「そうだな。目が違うな」「ぼーさんは何というか…」「もっとこう」「何というか…」

「優しい目をしているのよね」ママさんが二人の会話に色を足す。

「優しい…」

「て、いうか、、寂しい… かな」

「ぼーさんは、なんだか悟りをひらいたような雰囲気を漂わせているんだよな」

「ほう。 では私の目には雑念がある ということでしょうか」と冗談を言ったつもりが「イヤイヤ、いや、そのような事ではなく」と二人が慌てて、訂正するように右手を左右に動かしながら瞼と口角をひくひくと痙攣させた。

「こないだなんかね、タクちゃんが酔っ払って。こちらの方に絡んじゃって」

「え?」ママさんの話しに二人が同時にわずかに後ろに下がった。

「いや、絡んだというか、初めての客を受け入れてくれたんでしょう。あだ名を付けてもらいました。 やーさん と」

ママさんが「と、言うわけで、こちらが新しいお仲間の。 やーさん よ」と二人に紹介してくれた。

二人はこちらの正体が「やーさん」と呼んでも差し障りのない者だと理解し、ホッとした様子で、やっと笑顔を見せた

しばらくすると二人とも酒が効いてきたようで、気さくにこちらにも話を向けてきた。




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