人形の語る声

動き出す音

初めてのマスターは確か僕の造り手

僕は小さな町のとある家で作られた

優しい優しい作り手は僕に微笑みこう語る

「あなたは私の初めて作ったお人形、どうか私と歩んで」と

それから僕は

感情を与えられ

歌を与えられ

彼女が望むものを与えられ

彼女と僕は常に一緒にいた

悲しき彼女が僕を捨てるまでは





ある時彼女から告げられたのは

「新しい友人ができたのだからあなたはもういらない」

その一言で

僕は暗い暗いゴミ捨て場に1人捨てられた


何故か痛みや寒さは感じなかった

けれど、

流れ落ちるはずのない涙が溢れ落ちていた

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