詩仙堂

ときどき詩仙堂へ庭を見に行く。


訪れる人が少ないわけではないけれど、混んでいる印象もない。いつ来ても静か。

いつもの縁側に腰を下ろすと、気持ちがだんだん整ってくる。


「ごめんな。一時間の遅刻や。待たせちゃったわ」


今日は、以前旅行中、北海道で知り合った小豆姉さんが、明石から遊びに来てくれたのだった。


「ええとこやなあ」

「ですよね。穴場です」


それっきり会話もなく落ち着いた二つの体を並べている。


「いいわね、若い人は」


そう言って、後ろを老夫婦が通り過ぎて行った。

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