梅雨の晴れ間

俺たちの仕事は、午前5時から10時まで、午後は4時から7時まで。

日によって違うけれど、大体毎日こんなスケジュール。

午前と午後の仕事の間には、長い昼休みがある。


しゃっしゃっしゃっ


心を撫でていくようなその音が心地いい。


寮の自室で昼寝から覚めると、誰かが外で操る竹ぼうきの音。

旅館の前庭が見える二階の窓から覗くと、フロントの娘だった。峰岸さん。


峰岸さん。ちょっと惜しかったな。

もう少しですごい美人になれそうな顔。どこか一点がちょっと狂った。


しゃっしゃっしゃっ


梅雨の晴れ間。


さっきまで降っていた雨は知らぬ間に止んで、すっかり晴れ上がった空の下。

銀色の地面に、色とりどりの傘が開いて干してある。


再び横になるとまた、まどろみ。

長い昼休み。


しゃっしゃっしゃっ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る