第8話 おっちょこちょい



 アスクからの手紙が途切れた、と思ったらなんと。あの聖女候補ミクリの護衛騎士になっていた。


 私は大切な幼馴染をとられたような気分になった。


 その日から調子が出なくなって、数日間部屋に引きこもった。


 わがままな行為だと分かっていたけれど、今外に出て行って鉢合わせでもしたらミクリにも、アスクにもひどい言葉を言ってしまいそうだった。


 けれど、何日かぶりにアスクから手紙が届いた。


『実は間抜けな話なんだけど……』


 そこに綴られていたのは、単純な事実。


 私を助けるために、護衛の兵士になろうと思ったけど、配属先を自由に決められなかったと嘆いていた。


 逆になぜ、自由に決められると思っていたのだろう。


 彼はおっちょこちょいだったらしい。


「アスクったら」


 少し元気が出た。


 翌日からは、前と同じように力を使えるようになった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る