第4話 平穏の終わり



 両親と、アスクと一緒。


 そんな毎日が楽しかった。


 けれど、七歳頃になった頃。

 武装した兵士達が家にやってきた。


「聖女様だとお告げを賜ったのだ。この家の娘を、我々の前に出してもらおうか」


 なんでも私が次の聖女の最有力候補だと、占い師がいったらしい。

 とても力が強いのだとか。


 占い師は、国の色々な事を占っている。

 聖女探しも、占い師の大事な仕事だった。


 前世の記憶がある事が関係しているのだろうか。

 私の力の強さはこの世界の中でも稀なほどらしい。


 私は、その日のうちに馬車にのせられて、どこか大きな施設に連れていかれる事になった。


 不安なまま馬車で連れていかれて、何日か。


 旅路の果てに見覚えのある施設を見た時、私は半狂乱になった。


 前世生きていた時。

 ここで、多くの聖女候補が虐げられていた。


 取り乱した様子で逃げ出そうとした私を、どう思ったのだろう。


 ただ、家が恋しい少女に見えたのだろうか。


 私を施設に押し込んだ者達は、ご機嫌取りをするように、猫なで声と作り笑いで接してきた。

 そして私は、大量の玩具を与えられて、部屋に軟禁された。


 家族にもアスクにも会えない。

 孤独な時間が続いた。


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