第3話 アスクという少年
陽気に日差しが降り注ぐ午前。
私は泣きそうになっていた。
かくれんぼしてたら、はぶられた。
たぶん、悪気はないのだろう。
気分屋な近所の子供達は、他の楽しい物を見つけてしまったに違いない。
誰にも見つけてもらえないと分かったは私は、目の端に小さな雫をつくりはじめていた。
そこに、声をかけてくる少年がいた。
「かーちゅあー。やっとみつけた! おにーさんだぞーう」
私には兄のような人がいたらしい。
翌日、家に遊びに来たのは、面倒みの良い歳上の少年だった。
「いっしょにあそぼうなー」
しまりのない表情で私を抱き上げて、ぐるぐるふり回される。
どうしてか知らないけれど、私の事を気に入っているらしい彼はよくこの家に遊びに来る。
彼の名前は、アスク。
毎日時間いっぱいを使って、私をかまってくれる。
「午後から家の手伝いがあるだろ。一緒に帰ろうな」
私を見つけてくれたアスクと手をつないで、仲良く家に。
午後からは、この家の家事手伝いがあった。
もしかしたら、両親から見つけてくるように頼まれたのだろうか。
私はよく母と並んで、食器洗いや洗濯などをこなしている。
アスクは、この家の子供ではないが、お駄賃目当てでこうして母の手伝いをしているらしい。
だから、私を見つけてくるように言われたのかと思った。
「かわいいカチュアと楽しくするのに、理由なんてないだろ。手伝いが終わったら。何して遊ぶ?」
でも、違った。
アスクはとても優しいお兄さんだった。
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