第346話 自由奔放 ①-SIDE 女 《1-345》-2⃣

愛しているの。


ダンスの相手を替えるよに、

次から次へ、くるくると、

違う男の腕から腕へ、

蜜を貪り、飛び渡り、

終には王の寵を得た、

花園に住まう夜の蝶。


かのオペレッタのヒロインの

モデルとなった彼女をば、

堕とす文句は唯一つ。


「君の夫のためだから」


奔放に踊る彼女ほど、

虫籠の似合う女はいない。



★☆★


彼女が、数多の男に抱かれたのは、

偏に夫のため。


『夫の出世』『夫への便宜』『夫の帰還』

そんなものをねだるのに、彼女が差し出せるのは…。

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