第271話 磔

天下人秀吉。

四つの子供なら覚えておらぬとでも思うたか?


母の慟哭の闇。

無理やり繋げ崩れた胴の、磔られた父の無残を…

一日いちじつたりとて忘れた事などあるものか。


あの世で御覧じろ。

これが女子おなごの戦よ。


凡庸な夫に発破かけ、愚鈍な主君を外道に引き摺る事ならば、

無力な私だとて出来るのだ。


果てよ! 豊臣!



★☆★


春日局。


夫=稲葉正成

豊臣秀吉の命で小早川秀明の家臣となり補佐する。

徳川家康と内通し、秀明を東軍に寝返らせる事に成功。

戦後に秀秋と対立し美濃に蟄居。

小早川家断絶後は浪人になり、春日局が家光の乳母に選ばれて離婚する。


正成が秀吉の家臣であったという事は、醍醐の花見とかで、

春日局と秀吉が言葉を交わした可能性もあるかもしれないし、

家康と内通したのは正成の判断でしょうが、

春日局なら、夫がそうするように誘導する事も可能な気がしちゃったんだ。



磔刑で、最初に浮かんだのは、当然、イエス・キリストですが、

二番目に思い浮かんだのは、春日局パパの斎藤利三でした。

(明智光秀には、光秀=天海大僧正のロマンがあるから却下)

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