第10話 霊能力者・猫江!?
(猫江さん、本当に
後ろの席で見事な霊視を
「ちょっと、
取らぬ
「
「初めまして、
「わ、あ、あの、初めまして」
(思ったほど背は高くないわね、170cm位かしら? 体格は
突然の来訪に驚きながらも冷静に観察するみどりに
「君、かわいいね〜、どこから来たの?」
「は、あの、東京……藩からです」
「やっぱりね、この辺で君みたいに可愛い子見た事ないもん、ねぇ名前教えてよ」
「み、み、みどりです」
「みどりちゃんか、可愛いね〜、あ、飲み物はどうする?これなんか美味しいよ」
「だ、大丈夫です!」
さりげなく高い飲み物のオーダーを勧める猫江を拒否すると、思い切って聞いてみた。
「あの、Jinさんって霊能力者なんですか??」
「あ〜! 今の話聞いてたんでしょ〜、盗み聞きはコツンだよ!」
「そうだね〜、みどりちゃんの事も見てあげようか」
そう言うなり、みどりの手を包み込む様に握りしめる。
驚いたみどりを正面からじっと見つめる猫江の顔には魅惑の笑みが張り付いたままだ。
(ち、近いよ……)
ドギマギして目を泳がせるみどりを、猫江は至近距離から透き通った瞳で見据える。
「ふぅん、こっちには観光……じゃないな、仕事で来たけど、相当乗り気じゃない」
「え!? そんな事は……」
「どうして引き受けたの? 出世の為?」
「どうしてって……」
「ちがうな、断れない理由があった」
「そんなんじゃ……」
「近しい人が関係してるね……、恋人……、いや、もっと、そう、お父さんだ!」
「違いますっ!!」
みどりは慌てて猫江の手を振り解いて距離を取ったが、勢い余ってキャリーバッグを踏み付けてしまった。
『ギャッ』
「あ、ごめん」
キャリーの中から僅かに聞こえた馬琴の悲鳴に思わず謝ってしまったみどりに、猫江が不審そうに質問する。
「ちょ、みどりちゃん、その中に何か居るの?」
「わ、わたし、あの、猫飼ってて……」
猫と聞いて猫江の目が輝く。
「え? 猫? なんだ〜、変なモン入ってるのかと思ってビビッちゃったよ〜、実は俺も超猫好きなんだよー! 見せて見せて、名前なんて言うの?」
「
「馬琴? 面白い名前だね! 馬琴ちゃーん」
呼びかけながら馬琴の入ったキャリーバッグに顔を近づけた猫江の顔色が変わった。
「お前!?
『そうじゃ、久しいのぉ、
「お前、何でここに?」
『おぬしの八房に教えてもろうたのじゃ』
「そうか、俺の八房に……って、そうじゃなくて、何で俺の八房に聞いてまでこんな所に来たんだよ?」
『それは、話せば長くなるのじゃが、詳しくはその
「滝沢……?」
猫江はうめく様に呟いた後しばらく黙っていたが、店内放送で別のテーブルから指名が入った事を知らされると、我に返ってみどりに告げた。
「どうやら訳ありみたいだな……、ここじゃなんだから店が終わるまでファミレスかどこかで待っててくれ! これ連絡先だから店決まったらメッセージ入れといて! おい!」
「あ、ちょっと!」
呼びとめようとするみどりを無視してボーイを呼びつけると、猫江は何やら言いつけて指名客のテーブルに移動した。
残されたみどりと馬琴にボーイが差し出した請求書には、一万円と記されてある。
「高っ!」
思わず叫んだみどりはボーイに睨みつけられ、スゴスゴと支払いを済ます。
「あの! 領収書、東京藩宛でお願いします」
出張旅行でハメを外す不届き者とでも思ったのか、ボーイはニヤリと薄笑いと共に領収書を返す。
(経費で落ちるよね……)
心配しながら店を出ようとしたみどりの背後が急に騒がしくなったので振り向いてみると、グラスがピラミッドの様に積み上げられ、店のホスト達がその周りに集結していた。
「わぁ! あれ、シャンパンタワーよ! 百万円じゃきかないらしいよ」
『ほぅ、豪勢じゃの』
テレビでしか見た事がないシャンパンタワーに見とれていると、ホストたちのコールが始まる。
どうやら今日はNo.1ホスト『
『こんな事してまで気を引こうとは、人間も猫も
馬琴のジジ臭い感想を聞き流して、No.1ホストとやらを一目見ようとつま先立ちしていたみどりの動きが止まった。
『どうしたんじゃ? 息が止まるほどの良い男か?』
「い、
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