第6話 消えた宝刀・村雨
「
「恐らくは猫塚と共に……」
「このたわけがっ!!! そなたらは一体何を見張っておったのじゃ! 草の根分けても探し出せ!」
「はっ! してここの警備は?」
「どっちもじゃ! わらわも
「はっ!」
嵐の去った知事室には、床に腰を落としたまま怒りに震える中池と、
毛づくろいに飽きた馬琴に頭をすり寄せられて、我に返ったみどりが慌てて立ち上がり口を開いた。
「あ、あのっ!」
みどりの声で我に返った中池がスカートのすそを気にしながら立ち上がる。
「
「そんな!? わたし、あんな危険な人たち相手にできませんよ!」
中池は、みどりを
「そなたに戦えとは言うておらぬ、そなたは猫士を探せばよいのじゃ」
「わたし、できませんっ!」
「滝沢ぁ……」
手間を取らせるなと言わんばかりに中池に代わり、山下が冷たく言い放つ。
「滝沢、お主の治療費、誰が払ったと思っておるのだ?」
「そ、それは……、分割してちゃんとお支払いしますから!」
「幾らかかったか知っておるのか?」
「知りません、お幾らですか?」
「二千万じゃ」
「二千万!?」
(嘘でしょ!?)
「そんな!? そんなでたらめな金額……」
「なんだ?
「そんなぁ……」
「滝沢よ、先ほどの様な
「……」
「それにのぉ、そなたの
みどりはハッとして顔を上げる。
(お父さん!? まさか、お父さんこっちの世界でも)
「
みどりは怒りを込めて中池を睨みつけていたが、諦めた様にため息を漏らした。
「わたしに拒否する事はできないって事ですね?」
「そう怒るな、滝沢。
「……分かりました」
みどりは観念した様に首を縦に振り、承諾の意を示した。
「そうか、そうか、それでこそじゃ! 今日はもう帰ってよいぞ、明日の
上機嫌の中池に送り出されて馬琴と共に都庁を後にしたみどりは、ジャケットの胸ポケットから白猫・
(まずはこの子を探し出す事! そして飼い主の猫士を見つけて連れ戻す! そうすればわたしもお父さんも……)
そんな決意を見透かしたように、キャリーケースの中の馬琴が声をかけた。
『やるしかなかろう!
「そうだね、馬琴ちゃん!」
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