第二部 マシンメア=ハーツ
第105話 襲撃。
「グギギ! 今度こそお前を倒す!」
目の前のキメラ。獅子の体に鷲の翼、頭はやっぱり鷲で尻尾は鞭のようにシナる蛇。そんなキメラの怪物、グリフォン。
かなりの魔力を溜め込んだそれはその力を発散しつつこちらに迫る。
「もうバルカは居ないんだよ。それもわからないの!?」
「魔王様は俺の此処に居る。お前を倒せとそう叫ぶ!」
蛇の尻尾で自分の胸を指し示すグリフォン。はう。バルカのカケラが残ってるの!?
あたしはなんとか魔力をかき集めマジカルレイヤーで自身を強化する。小屋にはカイヤとティアがいる。彼らだけでも守らなきゃ。あたしはそう背後を気にしながらグリフォンと対峙して。
ベルベットのような色の瘴気を吐き出すグリフォン。ねっとりとした血の色のそれがまとわりつくのを嫌い右手に呼んだドラゴンスレイヤーで切り裂き払う。
「はは! お前、以前よりも弱いな!」
「なにを!」
「はは、弱い弱い。これは拍子抜けだ」
グリフォンは頭上に自身の魔力を集めて光の玉を形成。そこにエネルギーを注ぎ込んでいく。
返してしまったエレメンタルドラゴンのコア。ドラゴンオプスニル。ああ、たしかに今のあたしはあの時よりも弱いかも、だけど。
それでも。
負けるわけにはいかないんだ!
「おまけにお前、背後に結界を張っているのか? そんな片手間でこの俺様に敵うと思うのか!」
バウ!
頭上のエネルギー弾をあたし背後目掛けて放つグリフォン。あたしは一瞬それに気を取られた。
どごん! とお腹に体当たりをされ吹っ飛ぶ。
大気中のギア、アウラを背中に集めてなんとか勢いを止めて。そのまま光の羽を形成してグリフォンに向かって跳ぶあたし。
一瞬だけ見えた小屋は無事だった。あそこには熱を出して寝込んでるティアとそのティアの守りを任せたカイヤがいる。
ここはもうこれ以上通すわけにはいかないよ!
ドラゴンスレイヤーを上段に構えて一気に袈裟懸けに斬り下ろす!
当たった?
と思った時。
グリフォンがそのまま弾けた。
真っ白な光があたしを飲み込んで。そして。
世界に穴が開いたのだった。
上空に開くその穴。
周囲に巻き上がる空気にカーテンのようなヒダを伴って吹き込む白い光。
守らなきゃ! そんなあたしを嘲笑うかのように。
あたしはその空気の乱れに巻き込まれてその穴に呑まれた。
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