第2話

ダイバ軍団は瞬時に地球星に近づく。

宇宙から見ると地球の本体が見えない。濁った赤茶色の雲に覆われている。

「これが、地球を人間に任せた結果だ。温室ガスが上空を覆い尽くして、太陽光の入る隙間もないだろう。滅亡させるしかない。警告などで、反省する連中ではない」

ダイバの声が地球を震わせるように響く。


「どこか、コロナ魔神を送ってやるのに良いところはないか」

地球を回りながら観測していて、目に止まったところがある。

「あれは中国だ。あの国なら、コロナが広がっても、しばらくは秘密にするだろうから、都合が良い。あそこにしよう」


中国の上空に行き、さらに観察する。

「オー、あそこ、武漢がいいぞ。国のほぼ中央で人口も多く、発展しているが、原始的な生活をしている人間もいる。どうだ、適所ではないか.コロナ魔人よ」

地球の何百倍もありそうなコロナの炎を吐き出している魔人が、軍団の中から中国の上空へ進む。


「そうだ、本当にぴったりだ。しかも、住んでいる人間の中に、おかしなもの食って自慢する者がいる。あの人間からコロナウイルスを広めてやろう」

コロナ魔神の軍団は、巨大な渦巻きとなって武漢へ吸い込まれるように降りてゆく。


「その調子だ。地球星のために早く、人類を滅ぼしてやれ」

ダイバの声が、雷となって鋭い光と爆音になる。

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