第13話 ラスボスフラグは完全に折りました
そんな成り行きで始まった、ボスイベント。
その流れは、思わぬ方向へかじをとった。
調査に私もかかわった事で、何かしらが変わったのだろ。
元のシナリオとは違う事が起きた。
原作より慎重に行動していたボスは、学校の屋上に追い詰められた時に、備えの道具を使って逃走。
「こんなところで捕まってたまるか!」
ロープを使って、地上に逃走するという奇策を実行した。
原作では大人しくお縄についていたというのに。
だから、虚を突かれたアリシャ達はそのまま教師を逃がしてしまうかに思えた。
けれど、トールが生き物を操り大捜索、ウルドが逃げた教師を拘束。
アリオが抵抗する教師を押さえつけ、極めつけに弟が念動力を使って、相手を昏倒させたのだった。
「ぐっ、ガキのくせに調子に乗ってんじゃねぇ!」
しかし、すぐに目を覚まして最後の抵抗とばかりに、アリオの拘束をふりきってしまう。
渾身の力で起き上がって、主人公にとびかかろうとした時はどうなるかと思った。
とっさにかばうように前に出たけれど、まったく何も考えてなかったので、「姉さん危ない!」と、弟が力で助けてくれなければやばかっただろう。
念動力を受けた犯人が吹っ飛ぶ。
そんな感じで、イベントは無事に終了。
この事件で、弟が持っている不思議な力の事が判明してしまったけれど、他の者達は好意的に受け入れてくれた。
自分達も同じような力を持っているし、と。
弟はほっとしたようだ。
ラスボス化する気配はみじんもない。
懸念していた最後のフラグ、前世の記憶を思い出す事もなかったようだし。
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