第11話 続・騒がしい



 それからも、攻略対象者達と絡んだり、絡まなかったりしながら、毎日賑やかな日々を過ごした。


 冬には雪合戦イベントで、主人公組になった敵陣営のウルドとトールを思う存分攻め立てた。雪玉の中に灯油缶の破片が混じってるって? 見間違いね。


「見破られたからといって、なぜあなたは直接灯油缶を投げてくる!?」

「卑怯ですよ! ルール違反です! というか危ないじゃありませんか!!」


 見間違いね。


 その後も、なんやかんやと色々なイベントが起きた。


 さすがゲームの登場人物。


 一癖も二癖もあるため、イベントが何事もなく終わる気配がまったく無い。


 思わぬ過去が判明したり、トラウマが露見したり、スキャンダルが捏造されたり、大切な形見をなくしたり。


 イベント事例がとても豊富だった。


 真面目なお坊ちゃんお嬢ちゃんかと思えば、肝試しで校舎に乗り込むなんて事もしているし。


「いや、それはたぶん姉さんがやるって言ったから。ううん、なんでもない」


 頭でっかちな集団ではない所は良いところだが、毎回爪が甘いところがあった。


 警備員に見つかるから、あれほど灯りはつけるなと言ったのに。


 おかげで、私だけ大目玉をくらってしまった。


「問題児のウルドとトールの面倒を見てたら、ついストレスで。落ち着いた場所で一人になりたかったんです」

「そっ、そうか大変だな。何かあったら先生たちに相談しなさい」


 けれど、ただでは転ばない。

 説教後に喜んで攻略対象を売っておいた。

 翌日、教師から怒られたらしい。ざまぁ。


 そんな中、ボスイベントが発生した。


 ラスボスと戦う前の、ボス。


 気合を入れて臨まなければならない。


 確か乙女ゲームのシナリオでは、学校の先生がボスだったのか。


 自分の悪事がばれそうになったため、真実を知ったアリシャ達を亡きものにしようとしてくるのだ。


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