西の中枢
「大阪ぁ、東京が呼んどる」
「実先生も一緒に連れてきてー、やと」
そこにいたのは、先ほど生徒会室で自己紹介をされた二人の男子生徒であった。タレ気味の目にほどよい黒さの頭髪。つむじからぴょこっと飛び出している三日月型のアホ毛がチャームポイントの彼は、確か広島と言っただろうか。
そしてもう一人······髪型は至って平凡だが、整った顔と溢れ出るセンスでやけに目立つオーラを放っている彼は、福岡と名乗っていた気がする。
そんな二人の言葉に少しふくれっ面をした大阪は、肩を落としながらとぼとぼと二人に近づいた。
「えええめんどくさ。まだ実ちゃんとおしゃべりしてたいんやけど」
その言葉に、今度は扉の方にある二つの顔がムッとした表情に変わった。
「お前ばっかり実先生独り占めするんじゃなかっ!」
「そうじゃそうじゃ! 四組ならこれからいくらでもおしゃべりできるじゃろっ!」
「はぁ!?」
飛んできた二人の反論に、大阪は眉間にシワを寄せた。そして少し誇らしげな顔をするとすかさず彼らに言い返す。
「ええもんええもん。一番最初に実ちゃんと会うたの俺やしぃ」
「ちょ、俺もいたんやけど······」
入り乱れる色とりどりの言葉に囲まれ、実はすっかりハーレム状態になってしまった。そんな彼女を見て、功太がヒューヒューとはやしたてる。
そんな男達のお祭り騒ぎに、それを見ていたポニーテールの女子生徒が「あのアホども······」と呟いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます