西の中枢


「大阪ぁ、東京が呼んどる」


「実先生も一緒に連れてきてー、やと」


 そこにいたのは、先ほど生徒会室で自己紹介をされた二人の男子生徒であった。タレ気味の目にほどよい黒さの頭髪。つむじからぴょこっと飛び出している三日月型のアホ毛がチャームポイントの彼は、確か広島と言っただろうか。

 そしてもう一人······髪型は至って平凡だが、整った顔と溢れ出るセンスでやけに目立つオーラを放っている彼は、福岡と名乗っていた気がする。

 そんな二人の言葉に少しふくれっ面をした大阪は、肩を落としながらとぼとぼと二人に近づいた。


「えええめんどくさ。まだ実ちゃんとおしゃべりしてたいんやけど」


 その言葉に、今度は扉の方にある二つの顔がムッとした表情に変わった。


「お前ばっかり実先生独り占めするんじゃなかっ!」


「そうじゃそうじゃ! 四組ならこれからいくらでもおしゃべりできるじゃろっ!」


「はぁ!?」


 飛んできた二人の反論に、大阪は眉間にシワを寄せた。そして少し誇らしげな顔をするとすかさず彼らに言い返す。


「ええもんええもん。一番最初に実ちゃんと会うたの俺やしぃ」


「ちょ、俺もいたんやけど······」


 入り乱れる色とりどりの言葉に囲まれ、実はすっかりハーレム状態になってしまった。そんな彼女を見て、功太がヒューヒューとはやしたてる。

 そんな男達のお祭り騒ぎに、それを見ていたポニーテールの女子生徒が「あのアホども······」と呟いた。





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