第8話 (*^^*)
私は、ギルマスのリュウゼツを連れて鳥竜クアルコスの依頼を再度受注した。
ゲーム内では、先導者と言うシステムがあり、パーティーを組めないぼっちプレイヤーの為にNPCが同じ狩場に同行してくれると言うものであった。
RTAでは討伐難易度4以下のモンスターについてはソロ全裸が基本で、5部位もある防具に金を掛けるのであれば、武器の攻撃力に金を注ぎ込むのは攻略の基本であったが、この国では余り歓迎された事ではないらしい。
まあ、経済的を回すにはギルドに金を落とさなければならない。
防具を付けろと言うのは、商売をしている人間の言葉ならば判らないでもないのは理解している。
ただ、効率を考えるのならば攻撃力一択になってしまう。今後の武器と防具には莫大な金が掛るし、アイテムを使った狩猟が基本になってくるので、経費を考えるのなら最低限の備えで行きたい。
ギルマスから討伐時間が短すぎると言われたのも、そう考えるなら理解出来た。
他の狩人は防具にも金を掛けているのだろう。
私は、防具にかかる金を全て武器に掛けているのだから他の狩人よりも攻撃力が高いのは当然の事で、結果的に他の狩人よりも討伐時間が短縮されたのは不思議な事では無い。
ギルマスと共に森丘フィールドの熱帯雨林に到着すると、先程まで会話の無かったギルマスが話しかけてきた。
「そういえば、お名前を伺っていませんでしたね。私は狩人ギルド2代目ギルドマスターのリュウゼツです。」
名前か・・・。ゲーム時代の名前を使っておくか。
「おもちです。本日の狩猟は攻撃しないでくださいよ?」
「おもちさんですね。ええ、お邪魔はいたしません。」
不要な行動でヘイト値を溜められて、ターゲットを取られてしまうとモンスターは思い通りに動いてくれない。
モンスターは基本的にヘイト値が高いプレイヤーを攻撃してくる為、難易度の低いモンスター討伐では先導者システムが邪魔になる場合が多いのだ。
さて、会話をしてしまった為に討伐の最短ルートは使えなくなってしまった。
あれはクエスト開始時、直ぐに走って最短の道順で巣に向かわなければ出来ない。
巣での戦闘をしていたのは、地形的に戦いやすかった為と邪魔になる雑魚モンスターが湧かない為だった。
そうすると、使えるルートは18番地の吹き抜けの洞窟か12番地の川辺になる。
「私が先導しますので付いてきてくださいね。」
「ええ」
私は12番地の川辺に向かう。
モンスターは個体によって大きさが設定されており、最も出現率の高い中程度の大きさのクアルコスは川辺に居る可能性が高かった。
川辺に到着すると狙い通りクアルコスの姿が見える。
そして、それを遠目に囲うようにアルタスも見えた。
私は先ず、クアルコスに発見されるようにダッシュで近づき振り降ろしを胴体に当てる。
これで発覚状態になったので、戦闘開始だ。
モンスターAI的に平常時では何処かへ飛んで行ってしまう事があるので未発覚の状態で無理やり攻撃を当てる事で戦闘状態に移行させたのであった。
私はクアルコスを無視してアルタスの群れに向かう。
川辺では囲うように3匹の群れが見えるが、雑魚処理は防具を着ていない状態では最優先されるのである。
特に飛び掛かり攻撃があるアルタスは、攻撃を食らって吹き飛んだ後に大型モンスターの突進攻撃で死亡する事故が多い。
重要な攻撃時や、食らいたくない攻撃を避ける時に限って邪魔をしてくるのだからRTAでも嫌われているのであった。
今の攻撃力であればハンマーのスタンプ攻撃1回で沈められる。
私はさっさとアルタスを討伐すると、溜めを開始してこのクエストのメインモンスターのクアルコスへ向かう。
クアルコスが噛み付き攻撃を行ったので範囲外から頭部にスタンプ攻撃。
右側に転がり回避を行い、それを追うようにクアルコスが振り向きを行ったら合わせて振り降ろし攻撃を1回。
怯みを確認したので遅延を挟み2回目の振り降ろしからホームラン攻撃までを行う。
クアルコスが怒り状態になったので、ハンマー特殊攻撃の溜めを開始。
辺りに羽をまき散らすので範囲外に逃げて、嘴をカチカチと鳴らしたらスタンプ攻撃。
怯みを取り、火炎弾が口の中で暴発し、クアルコスの体を焼き上げるので頭に追撃。
丁度良くスタン値が溜まった様で、横に倒れ込みその場で悶絶する行動不能状態になったので頭にホームランまでの通常攻撃を2セット行い討伐は完了した。
早速、5回の剥ぎ取りを行う。
今回は儀式をしておこう。
「えっ、何やってるんですか?」
儀式とはその場でのしゃがみ→立つの行動を繰り返す事だ。
モンスターの剥ぎ取り結果は確率だが、基本的には剥ぎ取り確率の低い素材の方が高く売れる。
これは、確率を決める乱数を調節するための儀式。
なお、意味はない模様。
「乱数調整ですよ(*^^*)」
「???」
乱数調整後に剥ぎ取り。
今回は偶然にも低確率剥ぎ取り素材のクアルコスの嘴が出た。
「これが、乱数調整の力・・・!」
ギルマスは驚いていた。
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