第6話 おかしな1日

ハンターギルドで受付嬢に討伐任務の完了報告をする。


受付嬢は目を見開いて驚いていた。確かに移動に半日も掛けて受けるようなクエストでは無い。

如何にも、移動時間が掛りすぎて思ったように周回出来ない事が解ったのでもっと効率の良いクエストを受けたいのだが、任務達成時に加算されるギルドポイントと言う物を溜めなければハンターランクは上がらないので、仕方なくとも周回を行うしかない。


「残り9回か・・・。」


クアルコス討伐任務を9回行えばギルドポイントが溜まり、ハンター昇級試験を受ける事が出来る。

この試験に合格すれば晴れてハンターランクが2に上がる。

中級の中位程度のクエストを受ける事が出来る様になれば、モンスター狩の合間に炭鉱を掘る事が出来る様になる。

移動時間が長いのだからこういった採取系をやっておかないと後々苦労する事になるだろう。


任務の達成金でギルド広場の飲み屋で麦酒を飲んでいるとギルドマスターに声を掛けられた。


「あの、ご休憩の所すみません。お話があるのですが・・・。」


こんなイベントあったっけ?


私は首を傾げながら麦酒を飲み干し言葉を促した。


「ええ、どうぞ。」


「本日、鳥竜クアルコスを受けた新人の方ですよね?異様に早く帰って来られたので不審に思う人間が居まして」


「はあ」


「つきましては、次回の討伐の際に1人の同行を許可していただきたいのですが。」


初めてのイベントだった。先駆者兄貴達さえも見つけていない特殊なフラグを踏んだのかもしれない。


「私が知る限りでは、ギルドにそのような制度はありませんでしたよね?不審に思っていると言うのも、クエスト完了前に言うべき事の筈です。それなのに、同行させるのは何故でしょうか?」


「如何にも貴方の討伐時間が短すぎる。中級上位のハンターでも後1日掛かってもおかしくないのです。こちらが不審に思うのは当然の事でしょう。」


ギルマスの視線が鋭くなる。脅してるのだろうか。


「契約書を用いた条件付きで了承します。」


私が出した条件は

1.今後、ギルド側からの干渉の一切を無くす事

2.狩場では全ての指示に従う事

3.狩の方法について全て他言しない事


「解りました。条件を飲みましょう」


「では、直ぐに行きましょうか」


「えっ?」


「当たり前だよなぁ(ホモ特有のねっとりvoice)」


再度クアルコスのクエストを受注する。

到着は明日の朝になるだろう。





リュウゼツ


リフティリアでも100年の歴史を持った狩人ギルドのギルマス。

銀の髪をオールバックにしており、鋭い目には知識人が付けると言われている眼鏡を装備している。身内には優しい。

竜人族の血が入っているため人間よりも長生き。

本人曰く400年は生きているらしい。


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