第4話 狩人の基本
叫びながらベースキャンプに向かうと偶然にもパーティーと遭遇した。
パーティーに事情を話すと、特例として町まで送ってくれる様子であったので保護を申し出たのであった。
この世界の住民が武器を持っていないと言う事は危険時にモンスターに対応する事が出来ないと言う事であり、子供から老人まで例え狩人でなくとも簡単な武器を持っているらしい。
それらを装備していないと言う事は命からがら逃げてきたとか、装備を破棄する程の緊急時であると判断したためと勝手に納得したパーティーのリーダーであるグロッグ以下3人の合計4人パーティーに連れられて町まで護衛をして貰ったのだった。
クエストの進行を遅らせたことを謝ると、
「なに、困ったときは助け合いだ」
と、子気味良い笑顔を向けられたので人格者なのであろう。
町に着くと、ハンターギルドに向かい狩人登録。
支給された防具を全て売り払って鍛冶屋で最も攻撃力の高いハンマーにする。
切れ味も平均的で竜種にも十分通用するし、全てのモンスターに対して一定の相性の良さを発揮するハンマーは全モンスター討伐RTAの基本装備にもなっていた。
私の初めてのクエストは『森の異変~鳥竜クアルコスの討伐~』だ。
このクエストは初期の金策に丁度良い。それにハンマーとの相性も大変良く、プロハンターならば大体200以上は狩猟している鉄板の相手だった。
全裸で挑むのなら、動作が機敏で群れで行動しているアルタスの方が厄介まである。
このゲームはアクションゲーム。プレイヤースキルを考えると全裸初期装備でもクリアできるが、周回効率を上げるためにハンマーを良い物に変えたのだった。
さて、移動は馬車で行う。
ゲーム時代は移動=ロード時間だったのだが、流石にそこまでの短縮は出来ない様子。
先輩ハンターのグロッグも馬車でフィールドに来ていたのだから予想は出来ていた。
「周回効率が落ちるな・・・。」
結局はこれが問題だった。
最低でも10周は鳥竜クアルコスを討伐するのだ。移動時間は手痛い遅延。RTAだったらガバ案件だ。
手に握る『モスハンマー』を撫でる。
猪型のモンスターであるグフモスの頭部をそのままハンマーにしたような見た目。
ネタかと思えば初期で限定するのならばガチガチのガチ。
RTAでも中級の上位までこれ一本でいく事が出来る程のスペックを持っているが、1つ問題点がある。
【死神の加護】
25%の確率で敵対エネミーの攻撃力を2倍にするデバフスキル。
攻撃力を求めるのなら別の何かを差し出さなくてはならない。
全裸であるならば2撃決殺になるのだった。
しかし、このデバフスキルにも20年間に及ぶ狩人歴のあるプロハンターである私には対応策がある。
「当たらなければ大丈夫ですよ(*^^*)」
当たらなければ、敵の攻撃力は関係ない。
最強の作戦を考えたプロハンターの言葉であった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます