第263話 その先へ
マーガレットさんから話を聞いた俺とミルフィは、早速他のメンバーと合流してこのことを伝える。
「なるほど……これで、フォルトの睨んでいた『クイズ以外での攻略』が信憑性を帯びてきたってわけね」
「となると、ますますこの辺りを詳しく調査しないとですね!」
イルナもマシロもヤル気が増したようだ。
一方、ジェシカとトーネのコンビは他の冒険者からある情報を入手していた。
「それとつながりがあるかどうか定かではありませんが……この都市遺跡にはある噂があるみたいなんです」
「噂って?」
「幽霊が出るみたいなんですよ、ここ」
「……は?」
幽霊、か。
うーん……確かに、直接つながりがあるとは思えないけど、気になるといえば気になる噂だな。
とにかく、これまで手に入れた情報をもとに、俺たちは再度都市遺跡の調査へと乗りだしたのであった。
――二時間後。
「ダメだ……何も見つからない……」
あれから方々調べてみたが、特に何も発見されないまま時間だけが過ぎていく。
まあ、新参者の俺たちがあっさりと見つけられるなら、長らくここを調査しているタイラーさんがとっくに見つけているだろう。
ただ、ひとつ気になる点があった。
それはこの遺跡の全容がまったくの不透明であるということ。
どこからどこまでが遺跡なのか分からないのだ。
「奥へ進もうと思えば、もっと奥まで行けると思うんだけど……」
いつも強気のイルナだが、今回はそんなイルナでさえ慎重な言葉が口をつく。それも無理はない話で、都市遺跡の奥へ進めば進むほど、道は険しくなり、どんどん薄暗くなっていくのだ。
「あっちは光源となるヒカリゴケがないみたいですね」
「まあ、ランプを持って行けば調べられないわけじゃないんだけど……」
それはなかなかにリスクがありそうだ。
仮に奥へ進んだとして、もしそこに強いモンスターが潜んでいたら――いくらこちらの戦力が充実していたとしても、暗闇の中で戦うことは難しい。
とはいえ、このままここにとどまっても、進展は望めそうになかった。
「……行ってみるか」
「そうこなくっちゃ!」
パン、と勢いよく手を叩いたイルナ。
口では迷っているようなことを言いつつ、内心は遺跡の奥を調べてみたいって気持ちが強かったみたいだ。この辺は大迷宮のダンジョンに挑戦している父親のリカルドさんの影響だろうな。或いは、そういった血筋なのかもしれない。
「それなら、ランプを調達してくる必要がありそうですね」
「でも、今日はもう遅いわよ?」
「でしたら、明日改めて挑戦しましょう!」
「それがいい」
みんなもノリ気みたいだし……まあ、こっちの方が俺たちっぽいよな。
こうして、俺たちは都市遺跡の最奥部を目指すため、準備を始めるのだった。
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