第260話 違和感の正体
結局、この日は第五ステージまで進むことができた。
報酬としてゲットできた宝箱は――
黄色の宝箱×1
青い宝箱×3
であった。
「うぅむ……悔いが残ります。まさか正解が『赤いオーク』だったとは……」
「凡ミス」
五回目の挑戦でミスをしてしまい、スタート地点まで戻されると、ジェシカとトーネは責任を感じているようで落胆していた。
「まあまあ、そう落ち込むことないって」
「そうですよ。今日だけで四個も宝箱をゲットできたじゃないですか」
イルナとマシロはそう言ってふたりを慰める。
一方、俺はクイズに挑んでいる間に感じた違和感をますます強めていた。
「なんだか納得いかないって顔をしているわね、フォルト」
「ミルフィ……」
さすが、メンバーでもっとも付き合いの長いイルナにはバレるか。
「……どうにも、腑に落ちないんだ」
「腑に落ちないって?」
「あのクイズ……本当に全問正解すればこのダンジョンで最上レアのアイテムをゲットできるのかなって」
それは、当たり前のように信じられている話だった。途中で偶然再会したウィローズも似たようなことを言っていた――けど、俺はだんだんとその当たり前の話が信じられなくなっていたのだ。
「それじゃあ、フォルトは最上級の宝箱はもっと別の方法で入手できる、と?」
俺とミルフィの話を聞いていたイルナがそう尋ねてくる。
「確信があるわけじゃないし、あのクイズに答えて宝箱をゲットできるって方法は知識さえあれば危険を伴わずにある程度の宝箱は入手できる」
「ある程度……確かに、そうですね」
今度はジェシカが会話に参戦してくる。
「問題の難易度は部屋をクリアするごとに上がっていきました。正直、四回目の部屋ですでにかなりの難しさです」
そうだったな。
あそこも、なんとか知恵を振り絞ってギリギリ答えられたって感じだった。
――だが、その難しさに対しては報酬がショボすぎる。
他のダンジョンとは違い、命を懸けるような大冒険をしているわけじゃないから、文句は言えないのだろうけど……だとすると、この先の報酬も大体察しがつくのではないだろうか。
この、「難しい割に報酬がショボい」というのが、俺がこのダンジョンに抱く違和感の正体だった。
「……明日は、あの都市遺跡をもう少し詳しく調べてみよう」
かつて、俺たちは塔のダンジョンに挑んだことがある。
あそこも言ってみれば古代遺跡の類だ。
あの塔の攻略にはかなり苦労したし……同じような古代遺跡であるあの場所にも、何か他に知られざるトラップがあるのではないか。
その真相を確かめるため、俺たちは次の目的をクイズではなく都市遺跡に定める。
果たして、何が見つかるやら……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます