第258話 再戦

「やるじゃないか、若人たち。では、次の部屋へ進むがいい」

「「「えっ?」」」


 次の部屋って……まだ先があるのか。


「ここはまだまだ最序盤。このダンジョンでもっとも高価なお宝を手に入れたいというなら、もっともっと問題に正解しなくてはならないぞ。――まあ、いい宝箱を手に入れたとしても、それを開けられる解錠士アンロッカーがいないことには意味がないけどね」


 出題者の鳥はそう告げると、ポンという可愛らしい音を立てて姿を消した。

 直後、部屋の奥に扉が出現し、重厚な音を立てつつゆっくり開いていく。


「先へ進めってことだけど……これって引き返せないのかしら」

「と、とりあえず、一度戻ってみるか?」

「それがいいかも」


 ここへ入ったのも突発的な出来事だったし、なんの準備もしてきていない。大体どんなものなのか理解できたので、もう一度最初からとなっても問題はないだろう。


 それに……こうなったら、どうしてもアイテムマニアであるジェシカの力が必要だ。

 トーネが意外とどんな分野でもスラスラ答えられるが、ここにジェシカが加われば百人力だろう。――イルナには悪いけど。


 というわけで、俺たちは改めて作戦を練り直すため、一度部屋の外へ出ることにした。



 部屋は意外とあっさり出ることができた。

 そこで、合流したミルフィたちと今後について相談する。


「確かに、それならトーネとジェシカで挑んだ方がよさそうね」

解錠士アンロッカーとして、そして三種の神器を装備できるフォルトさんにも同行していただきたいですね」


 ミルフィとジェシカの提案に、他のみんなも同意する。

 とりあえず、これでメンツは確定した。


 俺とジェシカとトーネ。


 この三人で、改めて大図書のダンジョンに挑戦する。


「それにしても……本当に変わったダンジョンよね」


 おもむろに、イルナがそんなことを言う。

 まあ、確かに、命の危険がないってだけでも十分これまで探索してきたダンジョンとは違うわけだが、それを除いてもいろいろとイレギュラーなダンジョンだよな、ここは。


 ともかく、これで突破口は開けた。

 明日改めて挑戦するとして――念のため、大図書で他の冒険者と同じく知識を蓄えておこう。



  ◇◇◇



 翌日。

 俺たちは再びあの部屋へとやってきた。


「あれあれ~? 昨日とは違う子がいるね~」


 出題者も、昨日とは違っていた。

 前回は鳥だったが、今回はリスだ。


「あ、ちなみに、君たちは一度ここを突破したみたいだけど、あれは一日でリセットされちゃうからね? また一から挑戦してもらうよ」

「分かった」


 やっぱり、リセット方式だったか。

 それは想定していたので、別段驚きはしないけど。


「そっちの子の方がクイズは得意~?」

「えぇ。お手柔らかにお願いしますね」

「こりゃ大変だ。こっちも全力でお相手するね~」


 ……ノリの軽いリスだな。

 まあ、いいや。


 さあ――再戦といこう!

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