第255話 ウィローズとの再会

「ガーネス・シティで別れて以来ですわね」

「あぁ、そうだな。元気だったか?」

「もちろんですわ。そちらは――聞くまでもなさそうですわね」

「まあね。ここへはいつから?」

「一週間ほど前ですわ」


 久しぶりの再会ということで、俺たちの話は弾んだ。


 ウィローズがリーダーを務めるパーティー・《テンペスト》は、メンバーが若い女性だけという珍しい構成だった。

 氷のダンジョンでひと悶着あった後、和解し、それからはドン・ガーネス打倒のため共闘したりと友好的な関係を築いている。

 なので、今回の大図書のダンジョンについて、彼女たちがここまで仕入れている情報を教えてもらえた。


「ハッキリ言いまして――変なダンジョンですわね、ここ」


 随分とザックリした感想だなぁ……まあ、そう思っても仕方ないくらい、ここは確かに変なダンジョンだ。ていうか、全然ダンジョンっぽくない。

 俺たちよりも前からこのダンジョンを探索しているウィローズたちも、それを肌で感じているようだった。


「あなたが今抱いている感想の通りのダンジョンですわ。……ここはダンジョンではありません」

「でも、宝箱がドロップしたり、トラップがあったりするんだろ?」

「それはそうですが……そのトラップというのが、一筋縄ではいかないものですの」


 あの強気なウィローズにここまで言わせるとは……一体、このダンジョンに仕掛けられているトラップとはどのようなものだろうか。


「そのトラップというのは、どこに行けばあるんだ?」

「下におりて、ずっと真っ直ぐ行くと扉があります。そこから先に、トラップは存在しますわ」

「ありがとう。早速試してみるよ」


 危険性はないとのことだったので、とりあえず、どんなトラップかみんなで確認しに行こうという運びになった。


「で、ウィローズたちはこれからどうするんだ?」

「わたくしたちはそろそろ次のダンジョンへ旅立とうかと思っていましたの」


 そういえば、一週間前からこのダンジョンにいるって言っていたな。


「何か収穫はあったか?」

「まったくですわ。正直、うちのパーティー始まって以来最低の収穫でしょう」


 高ランクに位置づけられている《テンペスト》でさえ苦戦するダンジョンか……こりゃ挑戦のしがいがありそうだと意気込みが増すと同時に、俺たちも攻略できるかどうか不安にもなってきた。


「まあ、あなたたちなら突破できるんじゃないかしら」

「そ、そうかな……」

「自信を持ちなさい。これまでだって、いかなる困難も跳ねのけてきた実績があるじゃない」

「ウィローズ……」


 彼女の励ましで、覚悟が決まったよ。

 このダンジョン――俺たちが攻略してみせる!


 

 ウィローズたちと別れ、俺たちはトラップがあるという扉の前までやってきた。


「この先にトラップが待っているって分かっていても、やっぱり緊張するわね」

「ネタバレしているビックリ箱でも、開けたら驚きますもんね」


 イルナとジェシカはなんとものんびりと構えている。

 まあ、危険性のないトラップって話だから、ふたりに限らずいつも以上にリラックスして挑めているな……ますますダンジョンっぽくない。


 ともかく、俺たちはそのトラップを確認するため、扉を開けて奥へと進んだ。

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