第188話 集結

【お知らせ】


いよいよ明日発売!


第6回カクヨムコン特別賞&ComicWalker漫画賞受賞

「絶対無敵の解錠士」


《レーベル》スニーカー文庫

《イラスト》UGUME先生

《発売日》10月29日(金)


 書籍版でしか読めないオリジナルエピソードもあります!


 現在予約受付中!

 よろしくお願いいたします。


…………………………………………………………………………………………………






 フランさんやグレイスさんが加入し、戦力の大幅アップが見込めるようになった。

 そして、俺たちが最後に場所は――


「やっぱり……リカルドさんたちにも話をしておかないと」


 イルナの父親であり、霧の旅団のリーダーを務めているリカルドさんのもとだった。

 現在、霧の旅団は世界最大と言われる大迷宮のダンジョンに挑戦中だが……リカルドさんも、以前からドン・ガーネスに対してあまり良い感情を抱いていなかった。

 リカルドさんだけじゃない。

 アンヌさんやエリオットさん――というか、霧の旅団全員が、そのやり口に否定的な意見を持っていた。

 とはいえ、国家絡みの一大クエストに挑戦中とあっては、なかなか協力を得られないかもしれない。霧の旅団が攻勢に加われば、ドン・ガーネスとの関係がこじれるのを恐れた国家が、クエストの即時中止を訴えるかもしれないからだ。


 ……まあ、あの人たちなら報酬がなくても大迷宮のダンジョンの調査を続行しそうなものだが、それでも、今後の冒険者生活がやりにくくなるのは必至だろう。


 そんなわけで、娘のイルナの頼みであっても、リカルドさんが簡単に首を縦に振るとは思えない――と、思っていたら、


「よし! いっちょやるか!」


 交渉即了承だった。


「お、お願いに来ておいてこういうのも変な話ですけど……大丈夫ですか?」

「目をつけられた厄介と思っている連中もいるだろうが――あのカタルスキーが立ち上がり、バッシュやマルクスも参戦を表明している以上、俺たちが腰を下ろしたままというわけにはいかないだろう」


 やっぱり、リカルドさんも決起のタイミングを見計らっていたのか。


「それに、これほど大事になってくるなら……聖女ルナリアも黙ってはいないだろう。カタルスキーもそれを見越して使いを送っているだろうし、自分のところの兵を何人か寄越してくるはずだ」


 そして読みが鋭い。

 この辺はさすがに同じSランクパーティーのリーダーって感じだ。


「一旦こっちでの探索は休止だ。留守番を何人か置いていき、残った連中でガーネス・シティを目指すぞ。――ヤツと全面戦争だ」

「「「「「おお!」」」」」


 メンバー全員ヤル気満々だ。

 カタルスキーさんたちもまだまだ周囲に声をかけていくと言っているし、さらに戦力は増大していくだろう。


 俺たちは霧の旅団のメンバーとともに、カタルスキーさんたちとの合流地点に向けて早速出発した。

 目指すはドン・ガーネスがいるとされるガーネス・シティ。

 そこが決戦の舞台になるだろう。



  ◇◇◇



 その日の夜。

 俺たちは少しでも先を急ぐため、町の宿屋には止まらず、テントを張って夜を過ごすことにした。

 その宿泊場所だけど……俺やイルナにとっては眺めているだけで懐かしい気持ちになってくる。


「なんだろう……あれからそれほど時は経っていないはずなのに、もう何年も昔の出来事って気がするわ」

「同感だ」


 俺たちの見つめる先には、夜の闇へと続く一本の道がある。

 ここを真っすぐ進めば、灼熱のダンジョンへたどり着く――まだ、俺とイルナのふたりだけで行動していた頃に行ったダンジョンだ。


「おふたりの思い出のダンジョンですかぁ……」


 そこに、ニヤニヤしながらジェシカが登場。


「な、何よ……」

「いえいえ――素直に羨ましいなぁっと思いまして」

「からかう気満々でしょ!」


 ここでも賑やかなやりとりを繰り広げるふたりを微笑ましく眺めつつ、俺はこれから始まる大きな戦いに向けて気持ちを引き締めるのだった。

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