第187話 返答

※明日は第1巻発売直前SPということで、7:00といつもの19:00と2回投稿を予定しています!

お昼の方は幕間的な短編となっておりますのでお楽しみに!







 ドン・ガーネスへの攻勢。

 その戦力集めの第一弾として、俺たちは王宮解錠士ロイヤル・アンロッカーのふたり――バッシュさんとウィローズに接触を試みた。


 ウィローズの方はヤル気満々といった感じだが……バッシュさんはというと、


「カタルスキーとマルクスのふたりが腰をあげているというのに、俺だけがのんびりと構えているわけにはいかんだろう」

「そ、それじゃあ!」

「生む。――参加させてもらおう」


 こうして、正式にバッシュさんとウィローズの参戦が確定した。



 ふたりの加入は心強いが、俺はさらにあるふたりの人物に接触を試みようと密かに思っていた。


 そのふたりと顔を合わせる際、キーパーソンとなるのが――イルナとジェシカだ。


「というわけで、俺たち三人でもう少し戦力を増やせるよう交渉してくる」


 バッシュさんとの会談終了後。

 俺はみんなを集めて今後の展望を語った。

 とりあえず、俺とイルナとジェシカの三人でしばらく行動し、ミルフィ、マシロ、トーネの三人はバッシュさんやウィローズとともに一足早くカタルスキーさんやマルクスさんたちと合流する流れになった。


 ちなみに、移動手段についてだが、ウィローズが新たに転移魔法を覚えたらしく、それを使ってハーシェ村近くまで飛ぶ手筈となった。


「気をつけて、フォルト」

「無理をしないでくださいね、イルナさん」

「頑張って、ジェシカ」


 ミルフィ、マシロ、トーネからそれぞれ励ましの言葉をもらった俺たちは再会の約束を交わし、竜の瞳を使ってある人物の住む家へと飛んだ。


 そこは――



「おや、久しぶりだねぇ」


 

 ジェシカの祖母であるフランベール・マージョリー――通称・フラン婆さんのところだった。



  ◇◇◇



 俺たちはフランさんに家の中へ案内すると、こちらも久しぶりの再会となるコットーさんに挨拶をし、本題へと移る。


「ドン・ガーネス……いよいよ来るべき時が来たようね」


 神妙な面持ちで語るフランさん。

 しかし、世界に悪名を轟かす王宮解錠士ロイヤル・アンロッカーを相手に一大戦争を仕掛けるような話であっても、非常に落ち着いた物言い――恐らく、近い将来、こうなることを予見していたのかもしれないな。


「聖女ルナリアが聖騎士団を結成したって話を聞いたから、仕掛けるとするならそっちと思っていたけど……まさかカタルスキーの坊やが言いだすなんてねぇ」

「カタルスキーさんは聖女ルナリア様とも協力をすると言っていました」

「そうかい。……いい判断だよ。向こうもガーネスのやり口をこれ以上放っておくわけにもいかないだろうからねぇ」


 フランさんがそう言い終えた直後――



「話は聞かせてもらった!」



 突如、家のドアが勢いよく開け放たれた。

 大きな音に驚いて、全員がそちらへと視線を向けると、そこに立っていたのは、


「グ、グレイスさん!?」

「久しぶりだな、フォルト少年!」


 砂漠ダンジョンなどでお世話になった冒険者パーティー・《月影》の女性リーダーであるグレイスさんだった。


「その戦い、我ら月影も参戦させてもらおう」

「ほ、本当ですか!?」

「凄い! 月影が加わってくれたら百人力よ!」

「はい! 大幅な戦力アップです!」

「はっはっはっ! 嬉しいことを言ってくれる――だが、我々だけじゃないぞ。あの悪名高いドン・ガーネスに恨みを持つ者は多いからな。ギルドで呼びかければもっと数が集まるだろう。みんな待っていたのだ……決起する時を!」


 グレイスさんは高らかに言い放った。

 何て心強い……これは当初の予定を大きく上回る大軍勢になりそうだ。

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