第112話 使い魔誕生

【お知らせ】


 いつも「絶対無敵の解錠士アンロッカー」をお読みいただき、ありがとうございます。

 このたび、第6回カクヨムコンテストにて、本作が特別賞&ComicWalker漫画賞のダブル受賞となりました。


 これもお読みいただいた皆様のおかげです!

 本当にありがとうございました!


 レーベルなどの詳しい情報は後日改めて報告したいと思います。



…………………………………………………………………………………………………





 ダンジョンで得たアイテムを保管しておくための地下室。

 そこでは、塔のダンジョンで入手したお宝もある。


音の出所となっているそのお宝は――使い魔の卵。


 よく見ると、音だけでなく、卵は左右にゆれており、すぐにでも生まれそうな状態だった。


「ちょ、ちょっと! これ生まれるんじゃないの!?」

「間違いなく生まれますね……」

「ど、どどど、どうしましょう!?」

「お、落ち着いて、ミルフィ」


 女子四人は突然の事態に大慌て。

 ……そういう俺もひどく動揺していた。

 使い魔――そりゃあ、いてくれたらとても頼りになる存在だ。

 しかし、中には非常に獰猛なヤツもいて……いかん。考えていたらだんだんと不安になってきたぞ。

 俺たちの動揺や焦りを無視して、ついに卵の殻が割れ始めた。

 ピシピシっと音を立てながら、最初は小さく、そのうち割れる殻のサイズは大きくなっていった。

 そして――とうとう全貌が明らかとなる。


 使い魔の正体は――


「くぅーん……」


 弱々しい鳴き声のそいつは……もっふもふの白い毛で覆われた犬だった。



「「「「可愛い~!!」」」」


 

 真っ先に食いつく女子四人。

 確かに……可愛い。

 大きさは三十センチほどでまず目につくのはそのもふもふの白毛。つぶらな青い瞳にジッと見つめられると、思わず頬が緩んでしまう。


「ねぇ、名前どうする?」

「カッコよさの中にも可愛らしさがある名前がいいわね」

「ミルフィさん……それはかなりハードル高いですよ?」

「もふもふですね~♪」


 誕生した使い魔にすっかり心奪われたミルフィたち。

 うーん……確かに可愛さは認めるけど……果たして、俺たちの冒険の役に立ってくれるのだろうか……。

 本来、使い魔は冒険者の仕事を手助けしてくれたりするものだが、あの白いもふもふわんこからはそのような気配というか、可能性を感じさせない。


「見て見てフォルト! 凄く可愛いわよ!」


 いろいろ思考をめぐらせていると、使い魔を抱いたイルナがやってくる。


「あ、ああ、可愛いというのは分かるけど――」

「そうよね~♪ うちの子が一番よね~♪」


 ダメだ、こりゃ。

 しかし、イルナは意外と子煩悩(?)なのか……自分に子どもができたら、凄く甘くなりそうだな。そもそもリカルドさんもどちからというとそっち寄りだからなぁ。これは遺伝なのかもしれない。


 ――て、話がそれてしまった。


「と、ともかく、こうして使い魔が生まれたのなら、リカルドさんのところに報告へ行かないとな」

「そうね。リーダーであるリカルドさんへは報告義務があるものね」


 ミルフィはキリッと表情を引きしめていたが、その手は使い魔わんこの頭を猛烈に撫でている。

 

 まあ……ともかく……久しぶりにリカルドさんたちに会って、使い魔の件を報告しなければならない。

 

「一度みんなと合流しようか。それから、ギルドにもよって、次に潜るダンジョンを決めよう」

「「「「了解!」」」」

「わん!」

 

 こうして、俺たちのパーティーに新たな仲間が加わったのだった。

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