第91話 突然の来訪者
霧のダンジョン改め、森のダンジョンでの探索はその後も順調に進んだ。
まだまだ調査不足だが、現段階では他のダンジョンと遜色はない。
まあ、悪く言っちゃうと、特徴らしい特徴は見受けられなかった――ようは地味なのである。
しかし、それもまだこれからの調査でいくらでも評価は変わる。
今後に期待しよう。
ちなみに、一番値打ちのあったアイテムは最初に手に入れた歌姫のイヤリングだった。
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アイテム名 【歌姫のイヤリング】
希少度 【★★★☆☆☆☆☆☆☆】
解錠レベル 【77】
平均相場価格【5万~7万ドール】
詳細 【装着した物の魔法攻撃力をアップさせる】
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レアリティはそれほど高くないものの、広範囲にわたって攻撃できるマシロの歌唱魔法との相性は抜群といえる。ただ、本人は攻撃型の歌唱魔法の扱いに自信がないらしく、今後は鍛錬を積んでいくと意気込んでいた。
何より、今回一番の収穫は――Zランクであった霧のダンジョンが攻略できたことで、オデル村のペドロ村長にいい報告ができるということだ。
「ペドロ村長、きっと喜ぶわよ」
「そうね。あのダンジョンなら、普通にギルドも運営できるでしょうし」
「領主であるフローレンス伯爵にも報告をしないといけませんね」
「そ、その前に、リカルドさんへ相談しないと」
俺たち五人はそんなことを話し合いながらオデル村へと戻った。
村へ戻ると、ペドロ村長が夕食の準備をしてくれていた。
「おかえり。疲れたろう? 先に風呂へ入るか?」
俺たちを気遣ってくれている――その気持ちが嬉しくて、俺たちは思わず目頭が熱くなった。
そんなペドロさんに、俺たちは霧のダンジョン――ではなく、森のダンジョンについての話をした。
「ほ、本当か!?」
「はい。もしよければ、明日一緒に潜ってみますか?」
「行くとも! この目で見てみたい……あのダンジョンがどんな姿をしているのかを」
ペドロさんは興奮気味に語る。
思えば、ペドロさんにとってあのダンジョンは、村を衰退させた一番の原因であり、逆に村を繁栄させることのできる唯一の存在。きっと複雑な心境が入り交じっているのだろう。
「しかし参ったなぁ……こんなことなら、もっと豪勢な夕食にしておくべきだったよ」
「そんな。気持ちだけで十分ありがたいですよ」
「いやいや、ワシの気が収まらないんだ」
そう言って、ペドロさんは追加の料理を作るからと家の中へ入っていく。それを追う形で、俺たちもお邪魔することに。
数十分後。
家のテーブルには豪華な食事が並んだ。
「「「「「す、凄い……」」」」」
五人揃って驚きの声が漏れた。
「口に合うか分からねぇが……まあ、食ってくれ!」
調理したペドロさんに促されて、俺たちは食事を始める。
目移りしてしまうほどの量だが……よし。俺はこの肉団子からいくとしよう。
その味は、
「うまっ!」
噛んだ瞬間に口いっぱいに広がる肉汁……腹が減っている時にこの味はたまらない!
他のメンバーも、ペドロさんの作った料理を絶賛し、食べ進めていく。
するとその時、家のドアをノックする音が。
「? こんな時間に来客か?」
首を傾げながらペドロさんがドアを開けると、そこに立っていたのは若い男性だった。
――俺たちのよく知る人物だ。
「リカルドさんからここにいると教えてもらったんだが……どうやら、もう攻略し終えているようだな」
「バ、バッシュさん!?」
やってきたのは俺と同じ
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