第67話 謎解き開始!

 三階へ進むために必要な残り三つのアイテムを入手するため、俺たちは塔の周辺にある森へと入った。

 ダンジョン内に森……やっぱ、不思議な感覚だな。


「ねぇ、どうして森へ戻ってきたの?」


 イルナの質問で、俺はハッと我に返る。

 つい、謎が解けたかもしれないという興奮で先走ってしまい、みんなにそのことを話しそびれていたな。イルナが代表して質問をしたけど、他の四人も同じことが気になっている様子だった。


「残り三つのアイテムだけど……そのうちのひとつはすでに一度見ているんだ」


 棚に描かれたアイテムのイラスト。

 それに酷似した物を、俺たちは以前目にしていた。


「見ている? どこで?」

「ここだよ。この森で見たじゃないか」


 俺の言葉に、五人の女子は首を傾げた――と、


「あっ!」


 最初に思い出したのはミルフィだった。


「アイアンビートルよ!」

「アイアンビートル……ですか? ――ああっ!」

「そういうことですね!」


 ジェシカとマシロも分かったみたいだな。

 ……ただひとり、


「えっ? えっ? どういうこと? 何なの?」


 イルナだけはまだ分からないようだった。

 そこへ、ミルフィが解説に入る。


「あの棚にあったイラスト……あれはアイアンビートルの角を表していたのよ」

「ア、アイアンビートルの角ぉ?」

「私たちがあの階で見つけたヘムホルホをそうですが、楽器を作る際、モンスターの角や皮を使用することがあるんです」


 やはりか。


「じゃあ、他の棚も!」

「ああ……恐らく、この森に生息するモンスターの一部が、あの棚に収まるはずなんだ」

「つまり――モンスターを狩ればいいってわけね!」


 早くも聖女の拳(ナックル・ダスター)を装着したイルナは、標的を捜して辺りを見回している。

 ……まあ、そんな躍起にならなくても、


「キシャアアアアアアアアアアア!」


 ほら出た。


「みんな! 戦闘開始だ!」


 俺の掛け声で、みんなが一斉にアイアンビートルへと飛びかかる。



 

 その後、棚の形状に似ていると思われるクワガタ型のモンスターのはさみ部分、そしてカマキリ型モンスターの鎌の部分を回収。


 そして、再び塔の二階へと戻り、回収したモンスターの部位を棚に置いていく。


「これで最後だな」


 カマキリ型モンスターの鎌を棚に置くと、「ガガガ!」と歯車が回るような音がして棚が移動する。

そこから現れたのは、


「「「「「「階段だ!」」」」」」


 次の階へと繋がる階段だった。


「フォルトさんの狙い通りでしたね」

「さすがはフォルトね」

「やるじゃない!」

「凄いです、フォルトさん」

「い、いや……そんな……」


 女性陣に真正面からそう言われると、さすがに照れ臭いな。

 ……気を取り直して。

 俺たちはいよいよ三階部分へと上がっていく。


「そろそろ凶悪なモンスターが姿を見せてもおかしくはありませんね」

「ああ……警戒していこう」


 ダンジョンは謎解きもそうだが、凶悪なモンスターが潜んでいるという可能性も高い。

 三階ともなると、相当強いモンスターが待ち受けていても不思議じゃないな。


 そんな危機感を抱きつつ階段を上っていくと、狭かった二階とは違い、天井も高く、やたらと大きな部屋に出た。


「こ、これは!?」


 そこで、俺たちは驚くべき光景を目の当たりにする。

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