第66話 三階への道

新作をはじめました!


異世界転生×スローライフ×いちゃいちゃ!

そして「ざまぁ」も……? 


《無属性魔法って地味ですか? ~有能なのに「派手さがない」という理由で見捨てられた少年は辺境の領地で自由に暮らす~》



https://kakuyomu.jp/works/1177354055418261318



是非、読んでみてください!



…………………………………………………………………………………………………







「何かわかったんですか?」

「ここを見たまえ」


 本棚? 本棚に何かあるのか? 見てみると、本棚には何やら絵が描いてあった。そのうちのひとつはさっきの木製楽器だ。


「これって、あの、えっと……ヘ、ヘムムホ――」

「ヘムホルホです。試しにやってみましょう」


 さっきの百万相当のヘホムなんたらを、描かれている絵の上に置いた。すると、「カチャッ」という、接着音が。


「……読みは正解のようだです」

「そうみたいだな。よし! 手分けしてこの棚に描かれた物と同じアイテムをこの中から探し出すぞ。残りは八つだ」


 足元に散らばる道具の数々は次の階へ進むためのフラグ要因ってわけか。それにしたって、


「とはいえ、この数から探し出すのは骨だな……」

「弱音を吐かない!」

「頑張って探しましょう!」

「やるしかなさそうね!」


 イルナ、マシロ、ミルフィの三人はヤル気満々だ。

 そんな熱気を見せられたんじゃ……リーダーである俺だって負けちゃいられない!

 早速本棚に描かれたアイテム探しが始まった。


「ふふふ、こういう謎解きもまた冒険の醍醐味ですよ」


 本当に楽しそうだな、ジェシカは。

かく言う俺も今の状況を楽しんでいる。

ジェシカの言う通り、こういった謎解きも楽しみのひとつだ。


 こうして、俺たちは二階の部屋をいろいろと引っ掻き回して探し、なんとか五つ見つけだした。


「残りはあと三つか……」


 あっという間に半分以上が見つかる。

 この調子ならと活気づいたが――ここまでだった。


「ダメだ……どこにもない……」


 肩で息をしながら、俺たちは部屋の隅で休憩する。

 単純な運動量にプラスして、見つからないというプレッシャーが疲労を増す要因となっていた。


「何か……ヒントはないのか……」


 すがるような思いで、俺は見つけた五つの楽器が並ぶ棚へ目をやる。

 すると、


「あれ?」


 俺はあることに気づいた。


「どうかしたんですか、フォルトさん」

「いや……最初に見つけた五つと、残り三つは、ちょうど棚の奥と手前で別れているんだなって思って……」


 そう。

 俺たちがこの部屋で発見した楽器を飾る場所は、棚の奥にある。

 一方、まだ見つかっていない残り三つは全部手前側。


 これが意味するところは――


「もしかして……手前三つは楽器じゃないのか?」


 何か、ジャンル別で設置されているとするなら、この部屋にある物ではない可能性さえ出てくる。


「ちょ、ちょっと! それじゃあ、残りのアイテムは一体どこにあるっていうの!?」

「それは……」


 イルナの言う通りだ。

 このダンジョンで、他にアイテムが入手できそうな場所はない。あとはモンスターを倒して入手できる宝箱からのドロップだが……そんな運任せの仕組みなのか?


「……待てよ」


 ここで、俺は閃く。

 この二階部分――この部屋自体、塔とはまったく関係ない、隠し部屋の魔法陣で移動してきた。つまり、三階へ進む部屋のヒントは、この二階部分だけにあるとは限らない。ただ、ダンジョン内には、もう隠し部屋の気配を感じない。


「!?」


 ――そうか。

 たぶん、これが正解だ

 少なくとも、三つのうちひとつは手に入るはず。


「みんな」


 俺は疲弊し、その場に座り込む四人へ声をかけた。


「塔を出るぞ」

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