第18話 灼熱のダンジョン、その成果

【 訂正 】

 感想で指摘されて気づいたのですが、本来の第15話が抜け落ちていました。

 全部予約投稿にしていたこともあって、作者も気づきませんでした……申し訳ありません。

 ダンジョンでフォルトたちが発見した扉の続きになります。

 最新話とあわせてお読みいただければと思います!



※本日は19:00頃にもう1話投稿予定!







 穴場の狩りスポットを発掘したことでテンションの上がった俺たちは、それからも狩りまくった。

 

 その日の戦果は、


 小さな青い宝箱(木製)×【3】

 小さな青い宝箱(金属製)×【2】

 小さな黄色い宝箱(木製)×【1】

 大きな黄色い宝箱(木製)×【1】


 宝箱は色によって中に入っているアイテムの希少度が変わってくる。

 ちなみに期待度でいえば、

 


【虹】>【金】>【銀】>【銅】>【赤】>【黒】>【緑】>【黄】>【青】>【白】



という具合。 


 ここにハート柄や迷彩柄やチェック柄などが加わり、さらに、木製だったり金属製だったりと材質や大きさも足され、総合して宝箱の解錠レベルが決定されるのだ。


 ちなみに、今日ゲットしたのは全部解錠レベル【20】以下の宝箱ばかりだった。

 まあ、今は質より量だよ。

 そう思っていたら、


「おっ!」


 マグマヒポポタマスとかいうモンスターを狩った際にドロップした宝箱はハート柄をしていた。


「早速開けてみるか」


 俺は鍵を使ってハート柄の宝箱を開ける。

中には――ふわふわと浮かぶ赤い光球が入っていた。


「な、なんだ、これ!?」

「魔法の素よ!」

「これが……」


 聞いたことはある。

 人が魔法を覚えるためには、宝箱からドロップする魔法の素を得なくてはならない。俺が手に入れた龍声剣のように、特定のアイテムを装備することで使えるようにもなるらしいが、それは一般的な方法ではないらしい。


その魔法の素の色は赤。

 カタログを使って調べたイルナが、「大きさや光の強さからして、恐らく、炎系の基礎魔法のようね」と教えてくれた。


 ちなみに、人にはそれぞれ生まれ持った魔法属性というものがある。

 例えば、イルナは風属性。

 炎属性も覚えようと思えばできないこともないが、威力は落ちるし魔力は余計に食らうといいとこなし。そのため、自分の属性にあった魔法の素を選ぶ必要がある。稀に、ひとりで複数の属性持ちの者もいるらしい。

また、俺みたいに武器自体が魔法を覚えるものであるならば、複数の魔法属性を持つことが可能となる。


「俺も基礎魔法なら使えるし、こいつは売っても――」


「いいかな」と言い切る前に、手にしていた龍声剣が強い光を放った。

 そして、目の前にあった赤い魔法の素を剣へ取り込んだのだ。

「「えっ!?」」


 まさに魔法の素を食らうって感じで、俺とイルナは思わず声をあげた。


「なんだか、魔法の素を食べているって感じだったわね」

「あ、ああ……思いっきり噛み砕いていたな」


 そのワイルド(?)な取り込みぶりに、俺とイルナは圧倒されていた。



――と、いうわけで、本日の狩りを終え、この前手に入れた竜の瞳を使い地上へ戻ろうとしたら、


「ん? どうした?」

「あぁ……いやぁ……そのぅ……」


 イルナは何やらモジモジとして俺に掴まろうとしない。竜の瞳の効力として、使う者に触れていないと一緒に移動できないのだが、なぜか俺に寄りつかない。

ここで、俺は自分自身の状態について気がついた。


 暑さは和らいだとはいえ、ひんやりとしてグリーン・ガーデンに比べればずっと暑い。そのため、俺は汗だくになっていた。

……そりゃ近づきたくはないだろうなぁ。


 とはいえ、大量のアイテムを抱えたまま、元来た道を戻るのもしんどい。イルナには申し訳ないが、ここは我慢してもらうしかない。最悪、必要最低限のアイテムだけ持ち、自力で戻るという手もあるけど。


 とりあえず、今思いついたものを提案しようと、一歩近づいた時だった。


 むわぁ……。

 

 熱気が全身を襲う。

 そうだった。

 暑いのは俺だけじゃない。

 イルナも同じなのだ。

 

 どうやら、自分たちが汗まみれであることも、イルナが近づいてこなかった要因としてあるようだ。


「と、とにかく、戻ろうか」


 俺の言葉を受け、イルナは黙ったまま頷き、おずおずと俺に触れる。ただ、いつものように手を置くとかじゃなく、服の袖をチョンとつまむだけ。


「…………」

「…………」


 訪れる沈黙。

 き、気まずいなぁ……。


「ねぇ、フォルト」

「な、何?」


 突然沈黙を破ったイルナは、真剣な顔つきで言う。


「私……ここから出たら先にお風呂入るわ」

 

 イルナはめちゃくちゃ追い込まれた表情をしていた。


 ……まあ、俺も汗を流したいので、その申し出に賛成したのだった。

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