第12話 フォルトを捜して【ミルフィSide】
本日も2話投稿予定!
時間は18:00頃!
レックスたちをまいたミルフィは、周囲の安全を確認してからありったけの回復アイテムを詰め込み、彼らがフォルトを見捨てたというダンジョンへとやってきた。
フォルトが見捨てられた場所が分からず、しかも単独での行動だったため探索範囲が狭くなるという悪条件だった。
まず、ミルフィは聞き込みを中心に行った。
が、これは目撃者が見つからず、空振りに終わる。
さらに奥へ進もうか悩んでいると、
「おい、あの女!」
「ああ、間違いねぇ!」
ふたりの男の声がした。
その声は、明らかにミルフィへと向けられている。
振り返ると、冒険者ふたりがこちらを指差していた。
「レックスんとこを脱走したってメンバーだな」
「そうみたいだな。あいつをレックスのもとへ連れていけば報酬がもらえるぜ」
どうやら、レックスはこの町の冒険者たちにミルフィを見つけ次第自分のもとへ連れ来るよう伝えていたらしい。しかも、懸賞金までつけていたようだ。
「しかもいい女じゃねぇか。こいつは受け渡す前に少し楽しませてもらうとしよう」
「へっへっへっ、賛成だ」
下卑た笑みを浮かべながら近づく男ふたり。
ミルフィも臨戦態勢を取るが、その時、
「男複数でひとりの女の子を囲むなんて……随分な下衆がいたものね」
現れたのは黒髪の女性。
――ただ、人間ではない。
犬耳と尻尾のついた、狼の獣人族であった。
「念のため残ってよかったわ。まさかこんな最低な現場に居合わすなんて」
「なんだぁ、てめぇは!」
「! お、おい! あいつは――」
男のひとりが女の正体に気づいて震えだす。
「あいつは《喰いちぎりのアンヌ》だ!」
そう叫んだ直後、女性――《喰いちぎりのアンヌ》の目つきがより鋭さを増す。明らかに怒っていた。
「その名で呼ばれるのは好きじゃないの。――あんたたちの首根っこを喰いちぎってあげましょうか?」
「「ひいっ!?」」
男たちは情けない悲鳴をあげると、腰が抜けたのか、四つん這いになってその場から逃げていった。
「情けない男ね」
アンヌはそう呟くと、ミルフィへと向き直る。
「大丈夫? ケガはない?」
「あ、は、はい。平気です」
「それにしても、こんなところで何をしていたの? 見たところ冒険者のようだけど……あなたくらいの年の子がひとりで来るには危険よ?」
「じ、実は……人を捜していて」
「人捜し? 名前は?」
「フォルト・ガードナーという、私と同い年の男の子です」
「フォルト!?」
驚きのあまり、アンヌは思わず大声をあげた。
その反応に、ミルフィが食いつく。
「知っているんですか、フォルトを!」
「え、えぇ、彼なら――つい先日、うちのパーティーに入ったわ」
「パ、パーティー?」
「そう。――《霧の旅団》よ」
「えええええええええええええええええええええええ!?」
今度はミルフィが大声で驚いたのだった。
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