*28話 3ユニオン合同「井之頭公園メイズ」攻略⑧ 夜のメイズの過ごし方
「あ~、疲れたな!」
「本当に疲れましたぁ」
「こここっコータ先輩がぽポっポ、ポンコツになるから」
「どうも、すみませんね!」
「ポンコツか、ハハハ、こりゃイイわ」
「そんな事ないですよ! 大丈夫ですよ、コータ先輩。気にしないでください」
「どうも……すみません……」
というのは[チーム岡本]内の会話。場所は10層で時刻は20:30の少し前。状況としては1日の活動を終えてベースキャンプの10層へ戻って来た、というもの。
結局、スキル【能力値変換】の
ちなみにこの件については、岡本さんから「そう言うのは、分かった時点で言ってくれ」と注意されている。久しぶりに上司に叱られた気分になったが、ド正論過ぎて反論の余地がない。
まぁ、一応自己弁護(?)をするならば、状態的にはPTメンバーの1人が【
また、俺は俺で「全能力値3割減」というほぼ魔坑外套の恩恵が無くなった状態で戦うと「どんな感じに成るか」を知る事が出来た。結果はダメダメだったが、だからこそ、最近サボりがちになっていた道場通いを再開しようと決心することが出来た。ちょっと
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そんな感じで反省をしつつ、その傍らで野営(メイズの中でも野営で良いのか?)の準備を進める。ざっと見渡して
こうやって見ると、各自で野営の準備は個性が出ると思う。
例えば、普段から調布ビルメイズに週4で籠っているという[CMBユニオン]のおっちゃん達は、3PTが
そうやって大量の物資を運び込める[CMBユニオン]だが、野営装備は至ってシンプルで、各自の寝袋とエアーマットだけだった。
そんな割り切りで野営装備を簡略化した[CMBユニオン]だが、そうやって出来た積載スペースにはぎっしりと「アルコール類」が積まれている。全員が吞兵衛気質のおっちゃん達だけど、それにしても今回1泊2日の予定に対して量が多すぎる。ただ、これには理由があって、
「だって、一回潜ったら出るのが面倒だろ。だから、15層をやった後も2日間ほど残るよ」
とのことだった。ちなみに普段の活動が4日間なのも、持ち込めるお酒の量がネックになっての事らしい。
それで[CMBユニオン]のおっちゃん達はさっさと野営準備を終えると、早速酒盛りを開始している。レトルトパックの牛丼をつまみに焼酎を飲んでいるが……あんなに紅ショウガを入れたら、中身の半分は紅ショウガだろう。まぁ、どうやら美味しいらしいので、何よりだ。
一方[月下PT]はと言うと、以前の「小金井・府中事件」を除けば、普段はメイズ内に泊まることは無いらしい。なので、野営装備は
と、そんな
食事に関しては自衛隊の「戦闘糧食」に
ただ、これは[DOTユニオン]として活動する時に限った話。[チーム岡本]単独で活動する場合は話が違ってくる。
現在[チーム岡本]は単独活動として水・木の1泊2日で各地の小規模メイズに籠っている。その活動中の野営時は、ハム太が持つ【収納空間(省)】の性能を遺憾なく発揮し、ちょっとしたレジャーキャンプも顔負けの快適さをエンジョイしている。現時点では、他の[受託業者]にも
まず食事だが、これは調理器具も材料も全て収納しているため、普通に出来上がりたてを食べることが出来る。最近は
一方、テントやベッドについては今とそれほど変わりが無い。この辺に改善の余地があるのは確かで、現在[チーム岡本]ではトレーラーハウスかキャンピングカーを買うかどうかが話題になっている。お値段1,500万円前後と少々お高いが、4人で割ると400万円弱。別に悪い買い物ではないと思う。目下最大の難関は俺の妹千尋と、岡本さんの奥さん鳴海さんを説得すること。それさえクリアすれば、購入を妨げる障害は無い。
(DOTユニオンの時は、吾輩詰まらないのだ)
とハム太が不満を漏らすのは分かるが、生憎【収納空間(省)】は現代社会の仕組みを大きく乱すスキルだ。とてもじゃないが、それを
(もっと【収納空間】が普及すれば、吾輩も日の目を見ることができるのだ?)
いや、残念だけどそれは無いぞ。だって、そもそもハム太の存在自体が「喋るハムスター」なので規格外過ぎて他人に知られるのはマズイだろ。バレたら最悪実験動物だ。最終的には解剖されて標本になる。
(ずっと日陰者で良いのだ……)
だよな。まぁ、これが終わったらチー鱈でも買ってやるよ。
(北海道クッシャラ村産カマンベールチーズとオホーツク海産の鱈で作った生チー鱈が良いのだ)
……それって、最早チー鱈ではなく、チーズ蒲鉾な気がするんだけど、まぁいいか。
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