*メイズ消滅作戦① 5層前の微妙な感じ
[消滅作戦]の作戦
ただ、この筋書き《シナリオ》は自衛隊が独自に考えていたもので、[
「それだと、5層をクリアしてから一旦1層に戻って再度5層へ、ってなるけど」
「2度手間過ぎるな」
「愚策ですわ!」
という事だ(ちなみに喋ったのは[脱サラ会]の加賀野さん、[群狼PT]のイケメンリーダー、[月下PT]の月成凛女史)。それで、自衛隊員の現場指揮をしている諸橋3等陸尉は、
「ええぇ? う~ん……」
というリアクションになった。まぁ他2人はともかくとして、諸橋3等陸尉から見てひと回り歳が若い
「だから、一緒に行動しませんか?」
思わず、フォローするような発言をしてしまった俺。それで「一緒に?」と怪訝そうな視線を向けてきた諸橋3等陸尉に説明する。中身としては、
「5層までなら各層の踏破自体は多分1時間もかからないから、先ず俺達が各層のモンスターをクリアして、下へ降りる階段を見つける。それまでは、降りた場所に待機していてもらって、それで階段が見つかったら一緒に下の層へ移動する。コレの繰り返しで行きましょう」
というもの。至極当然な内容だと思う。ということで、諸橋3等陸尉は、
「う~ん、当初の想定とは違うが……確かにそちらの方が良いな」
となった。
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自衛隊員が運ぶ物資は大き目の段ボール50余箱と段ボールに収まらない長細い荷物。ただ、彼等は手押しタイプの運搬車(俗に言う台車)を持ち込んでいるので、水や弾薬の入った段ボールはその台車に積んで運搬することになる。メイズの床は殆どの場合が
ただ、それでも台車の数が限られるから、隊員全員(25人)が持てるだけ段ボールを持っている。それでも手が足りないので、物資運搬フェイズでは俺達[受託業者]も手を貸すことになる。
ちなみに【収納空間】持ちの[群狼PT]リーダーは自分のスキルを申告して運搬に協力するという姿勢を
その後、メイズ各層の攻略は戦闘
そして、各層のモンスターを
ここで自衛隊員と物資を一旦待たせて、[受託業者]が先行して5層へ降りる。勿論、5層に陣取る
ただ、ここで
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揉め事の内容は「誰が5層へ降りるか?」というもの。
「こんな大勢で5層に入っても面白くありませんわ。それにお互いに邪魔し合うという恐れもあります。ですから、
とのこと。まぁ後半部分の「邪魔し合う」については、そうかもな、と思う。でも前半部分の「面白くない」については賛成しかねる。こちらは面白い云々など関係なくやっているつもりだ。この思いは俺に限らず[チーム岡本]全員に共通している(と思う)。何と言っても、昨日の悲惨な光景を目の当たりにしているのだ。だからこそ、
ただ、残念な事に月成の提案に乗ってしまう面々が多いのが現実だった。
「そうだな、全員で掛かるとドロップ分配が面倒だ」
とは[赤竜・群狼ユニオン]のPTリーダー2人の意見。
「5層の番人モンスターに挑んでみたいな」
とは[CMBユニオン]の面々。
ちなみに[DOTユニオン]の[脱サラ会]と[TM研]の面々は、イラついた岡本さんの表情と、[チーム岡本]全体として醸し出す「そんな事言っている場合か!」といった雰囲気に押されて発言はしていない。
それでも多数決的に賛成3で月成の提案が受け入れられてしまった。
[赤竜・群狼ユニオン]総勢16人、平均修練値:450
[月下PT]総勢8人、平均修練値:650
[CMBユニオン]総勢18人、平均修練値:410
[DOTユニオン]総勢14人、平均修練値:550
以上が今の戦力の状況。[修練値]的には全員が5層踏破相当の数値に達している。ただ、戦力というのは[修練値]だけで測れるものではない。装備やスキルといった要素も深く関連する。そいう意味で、
(CMBユニオンは少し苦しいのだ。とにかく習得しているスキルが少ないのだ)
と、ハム太は評価している。確かに【収納空間】と【魔法スキル】を持つ[赤竜・群狼ユニオン]や、全体的にスキルバランスが良く[魔剣:フライズ]を所持する[月下PT]と比較すると、[CMBユニオン]の戦力は一段落ちると思える。
収拾した[スキルジェム]を買取りやオークションに回していたから、という事情は一時期の[脱サラ会]に通じるものがある。そうやって買取り価格を稼いだからこそ、[管理機構]の内部ランキングが上がり今この場に居るのだけれど、戦力的に見劣りするのは仕方ない。
ただ、運命の
「やった! 調布の5層はお宅らに先を越されたから、今回はリベンジだ!」
と盛り上がっている([脱サラ会]の加賀野さん達は「頑張れよ!」とか言っている)が、正直な所少し不安。ということで、
「バックアップを選ぼう、戦闘には参加しないが『もしもの備え』として」
と口を出した。
俺の提案について、[赤竜・群狼ユニオン]は興味が無い様子。
「
とのこと。「戦闘に参加しない=ドロップ貰えない=興味なし」ということらしい。
対して[月下PT]の月成は「ん?」という表情をしたが、少し考えて納得した様子。そういえば、彼女は【見極め】という【鑑定】の戦闘特化バージョンスキルを持っているということ。だとしたら[CMBユニオン]の戦力不足を察知しているのかもしれない。結局、
「よくってよ、私達かそちらかの2択になりますわね」
「そうだな、くじを引くのは……飯田、頼むわ」
ということで、【直感ビンビン男】の飯田が見事に50%を引き当てて、[DOTユニオン]がバックアップとして5層に同行することになった。
「なんか緊張するなぁ」
「リベンジだからな」
「でも、6層で結構頑張ったんだから、今なら」
「俺達だって出来るってところを見せてやるよ」
「オッサンだからって、やる時はやるんだぜ」
「男は40歳からさ」
などと口々に楽観的な事を言って盛り上がる[CMBユニオン]。彼等を先頭にして[DOTユニオン]も5層へ降りる。
結果として、このバックアップは成功だった。というのも……。
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